線描筆 せんびょうふで

Line-drawing Brush

線描筆(せんびょうふで)は、まさしく線を描くために用いる筆です。描きたい線の種類に応じて、穂先の形状や種類の異なる動物の毛を使用した筆があり、それぞれの筆を使い分けることで様々な「線」表現が可能になります。

線描筆の種類は主に「則妙筆(そくみょうふで)」「削用筆(さくようふで)」「面相筆(めんそうふで)」の3種類に分けられます。
「則妙筆」は、上質の羊毛と猫の毛を用い、絵具の含みやおりが良いため、柔らかく優美でたっぷりとした線が描けます。また、彩色にも利用できます。
「削用筆」は、上質の羊毛に鼬(いたち)の毛を用い、穂先が尖った形状になっているため、腰が強くて穂先も利き、硬い線や柔らかい線が自在に描けます。また、彩色にも利用できます。
「面相筆」は、非常に細い穂先を持っているので、繊細な線を描くときや、細部の彩色の際に用いられます。種類も様々で、穂の短い「狼狸(ろうり)面相」、長穂の「白狸(はくり)面相」や「鼬毛(ゆうもう)面相」、「白玉面相」などがあります。「面相」の名称は、人物の顔や表情などを描画する時に用いられたことに由来します。
ちなみに良い線描筆の条件は、筆を垂直に立てながら円を描いた場合に、穂先が割れないことです。模写等、繊細な線を描く時は「削用」「快」が適しています。

使用後は水やぬるま湯でよく洗い、水分を切ります。乾いたタオル等の上に寝かせて、直射日光の当たらない風通しの良い場所で乾かしましょう。このときに筆立てに入れて穂先を上にして立てた状態にすると、根元に水分が溜まり筆を傷めてしまうので注意しましょう。
線描筆は、日本画の材料を取り扱う画材店の他に、一般的な画材店で購入できます。

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参考文献
「日本画 表現と技法」 武蔵野美術大学日本画学科研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
「新技法シリーズ 日本画の表現技法」 石踊紘一、高嵜三朗/著 美術出版社 1978年
「初級技法講座 日本画 用具と描き方」 堀川えい子/著 美術出版社 1995年
「人気作家に学ぶ日本画の技法 画材と技法」 同朋舎 1997年

 

監修
重政啓治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2008年12月19日作成

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  • 線描筆線描筆
  • 線描筆による描画則妙筆による線描則妙筆による線描
  • 面相筆による線描面相筆による線描
  • 削用筆による線描削用筆による線描
  • 則妙筆による彩色則妙筆による彩色
  • 削用筆の構造削用筆の構造

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