標本化 ひょうほんか

Sampling

画像や音声などのアナログ情報をデジタル情報に変換することをアナログ-デジタル(A-D)変換といいます。A-D変換は、標本化と量子化という2つのプロセスで行われます。
標本化(sampling)とは、連続して変化するアナログ情報を一定の周期で計測するプロセスです。

画像の場合、アナログ画像は色が連続的に変化しています。それをデジタル画像であるビットマップデータにするには、まずどれぐらいの細かさで色の値を計測するかを決めなければなりません。その細かさを決めて色の値を計測するのが標本化のプロセスです。 ビットマップデータはピクセルの集合ですので、標本化ではアナログ画像を格子状に区切り、1つのピクセルとする範囲を定めることになります。細かく区切るほどアナログ画像を忠実に再現できます。(その分、データサイズが大きくなります。) 画像のデジタル化の場合、標本化の精度を決めることは、入力解像度を決めることです。一般的な印刷用途の場合、300dpi、350dpiという入力解像度が多く用いられますが、これはアナログ画像を1インチ当り300や350の格子に区切り、区切られた範囲を1つのピクセルにすることになります。
音声の場合、アナログ状態の音声とは媒質を伝播する波ですが、連続的に変化する音波をデジタルデータにする場合、どの程度の周期で音波を計測するかを決めなければなりません。その周期(1秒間当りの計測回数)を決め音波の値を計測するのが標本化のプロセスです。1秒間当りの計測回数を多くするほど、アナログ状態の波の形(波形)を忠実に再現できます。(その分、データサイズが大きくなります。) 音声のデジタル化の場合、標本化の精度を決めることは、サンプリングレートを決めることです。例えば音楽CDでは、44100Hzというサンプリングレートが用いられますが、これはアナログ状態の音声を1秒間当り44100回計測することになります。

以上のように、アナログ情報をデジタル情報とする場合、画像と音声は同じプロセスを経てデジタル情報に変換されていると捉えるのが良いでしょう。

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参考文献
・「教養のコンピュータサイエンス―情報科学入門― 第2版」岡部洋一・坂内正夫・小舘香椎子/監 小舘香椎子・上川井良太郎・中村克彦/著 丸善 2001年
・「マルチメディア」佐藤淳一/著 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「ディジタル・サウンド処理入門」青木直史/著 CQ出版 2006年

参考ウェブサイト
ホルベイン画材株式会社

監修
井上智史 通信教育課程デザイン情報学科非常勤講師]

作成日・改訂
2008年11月25日作成

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  • 画像の標本化と量子化の概念
  • 音声の標本化と量子化の概念

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