スクリーン すくりーん

Screen

スクリーンは、スクリーンプリントの制作で、版として用いられる均一で格子状に織り込まれた紗です。スクリーンは、枠に張って使用し、製版時に描画部分のみを残して目止めをします。印刷時にスクリーン上に置いたインクに圧力をかけることでスクリーンの目止めを行っていない部分の格子の間からインクが通り下に置いた支持体に印刷されます。

スクリーンプリントは、シルクスクリーンとも呼ばれるように、以前はスクリーンの素材にもシルク(絹)繊維が使用されていましたが、現在ではテトロン(ポリエステル)やナイロンなどの化学繊維が一般的な素材として使われています。また工業的分野で金属、木材に印刷する場合、高細密印刷を行う場合には、ステンレス製のスクリーンが用いられる場合もあります。テトロンを用いたスクリーンでは、写真製版法の露光時に光が乱反射するのを防ぐため、繊維を黄色く染めたスクリーンも作られています。

スクリーンは、格子状に織り込まれていてその密度には種類があり、細かさを1インチあたりの繊維の本数を#(メッシュ)で表します。市販されているものでは#80~500程度まで種類があり、番数が多いほど目が細かく密度が高くなります。通常、版画作品の制作においては、#200前後のものを使用します。しかし、布などに印刷する場合や粒子の粗いインク、粘性の高いインクを使用する場合などには番数が低く目の粗いものを使用し、粒子の細かいインク、粘性が低いインクを使用する場合、図柄が精密な場合などには、番数が高く目の細かいものを用いると良いでしょう。

スクリーンは、金属枠や木枠に張って使います。専門業者への依頼や版画工房でスクリーンストレッチャーという機械で張ることも可能ですが、紗を引っぱる専用の道具(ヒッパラーなど)を使い自分で張ることもできます。機械で張る場合、スクリーンを均一なテンションで張ることができ、費用はかかりますが、常に安定した状態を得ることができます。自分で張る場合には、好みのテンションで張ることができること、メッシュの変更が可能であることが利点ですが、慣れていないと失敗してスクリーンを破いてしまう場合もありますので注意が必要です。スクリーンは、使用しているうちにたるんできた場合や穴が開いた場合などには張り替えが必要です。
スクリーンは、版画道具を扱っている画材店や印刷資材専門店で購入することができます。

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参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年
・「版画の技法と表現」町田市立国際版画美術館/編 1987年
・「版画 進化する技法と表現」佐川美智子/監 岡部万穂/編 文遊社 2007年

参考ウェブサイト
江口孔版
ミノグループ

監修
渡邊洋 通信教育課程油絵学科非常勤講師

作成日・改訂
2009年02月20日作成

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  • スクリーン(拡大写真)スクリーン(拡大写真)
  • スクリーンを張るための道具左:簡易絹張り器 右:ヒッパラー左:簡易絹張り器 右:ヒッパラー

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