スキージー すきーじー

Squeegee

スキージー(squeegee : 英)は、スクリーンプリントの印刷をする際に、製版したスクリーンの描画部分(目止めされていない孔)からインクを押し出し支持体に定着させます。孔版においては、作品の仕上がりに直接影響する道具です。

スキージーは、木製またはアルミ製の柄に、インクを押し出すスキージゴム(スキージブレード)が一体となっています。スキージゴムには樹脂製のもの、ウレタンやシリコンなどを用いた合成ゴム製のものが一般的に使われており、ウレタンゴム製は、摩耗が少なく、耐久性・耐溶剤性とも優れ広く使用されています。スキージゴムの硬さには種類があり、使用するインクの粘度、スクリーンのメッシュ数などを考慮し、目的に応じて使い分けることがあります。スキージゴムの硬さは硬度50【軟】~90【硬】度のものが市販され、インクに厚みを与えて刷る場合には軟らかいものが向き、繊細な描画を施した刷面の場合には硬めのものが向きます。しかし、刷り具合は力の入れ方でも調節が出来るため、中硬度のものを揃えておけば間違いありません。
また、刷りではゴムのエッジをスクリーンへ均等に押しつけ移動させるために、エッジのシャープさが仕上がりの決め手となります。不具合の多くは、エッジの細かな欠損です。エッジに傷があると、仕上がり面にインクのムラを生み出し、均一な刷りが出来なくなります。スキージゴムを傷つけないような、扱い方と管理の仕方に配慮が必要です。エッジが欠けた場合や磨耗して丸くなった場合は、サンドベルトや耐水ペーパーで研ぎ直すことが出来ます。

スキージーを選ぶ際には、スクリーン枠の内寸より10㎝以上短いものを選びます。柄が木製の場合、長さを調節するための切断が可能で、規格外の枠や刷面の大きさに合わせた長さが得られます。柄がアルミ製の場合には、ゴムを外した分解清掃が行えます。
印刷の際には、スクリーンに対して斜め手前側に倒した状態で版の向こうから手前に引きます。版に対して垂直に加重し、常に均等な力を加えながら、スキージーを一定の速度で引くことが、美しくプリントするコツです。ゴムのエッジ全体にインクを良くなじませると、版面との摩擦が減り動きも良くなります。
スキージーは、孔版材料を取扱う専門店か、版画材料を取り扱う画材店にて購入することが出来ます。

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参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年
・「版画 進化する技法と表現」佐川美智子/監 岡部万穂/編 文遊社 2007年

監修
渡邊洋 通信教育課程油絵学科非常勤講師

作成日・改訂
2009年03月13日作成

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  • スキージゴムの種類
  • スキージーの使い方スキージーは、一定の程度の角度を保ったまま上から圧をかけ、均一の力で引きます。スキージーは、一定の程度の角度を保ったまま上から圧をかけ、均一の力で引きます。

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