銅版画用インク どうはんがよういんく

Copperplate Ink

銅版画用インクは、凹版の印刷の際に使用される、顔料に水酸化アルミニウムなどの体質顔料と焼亜麻仁油(焼リンシードオイル・プレートオイル)を媒質として混合し、練り合わせた油性のインクです。

銅版画用インクは、油絵具とほぼ同じ成分で構成されていますが、銅版画で使用するという性質上、適度な硬さと拭き取りやすさ、紙へのインク移りの良さなどが求められます。そのため、媒質である亜麻仁油は加熱燃焼させ脂肪分を飛ばします。この焼亜麻仁油を練って使用することで粘りが少なく腰が強い適度な硬さのインクが出来上がります。
銅版画用インクを自作する場合には、まずインクの練り台に顔料をのせて真ん中を窪ませます。そこにプレートオイルを少量ずつたらしていき、周りの顔料をヘラでオイルの中に崩し入れ、よくこねるように混ぜていきます。顔料と油がある程度なじんだら、ガラス製の練り棒(マラー)を滑らかに動かしながら練り合わせます。出来上がったインクは、空気に触れないように密閉し、顔料と油がなじむよう寝かせて熟成させます。
日本では外国製を含めいくつかのメーカーのものが市販されています。中でもフランスのシャルボネール社の銅版画用インクは黒色だけでもいくつかの種類があり、それぞれに色味や硬さや切れなどに特徴があります。イメージや技法などに合わせて使い分けると良いでしょう。また、カラーインクも様々な色が発売されています。
印刷時、インクを詰める際には、インク台に取り出してヘラで艶が出るまでよく練ります。ゴムベラやローラー、ダバー(たんぽ)などで凹部にインクを詰め、余分なインクを寒冷紗や人絹などで拭き取った後にプレス機で印刷します。インクの粘度が硬い場合はプレートオイルを、軟らかい場合には体質顔料を入れて硬さを調節するようにしましょう。インクの乾燥には時間を要し、2日ほどで触れても指につかない程度に乾きますが、完全な乾燥にはずいぶん時間がかかるといわれています。
銅版画用インクは、版画用品を扱う画材店で購入することができます。

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参考文献
・「事典プリンツ21」 室伏哲郎著 プリンツ21 1997年
・「版画事典」室伏哲郎 著 東京書籍 1985年
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室 編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「銅版画の技法」 菅野陽 著 美術出版社 1962年
・「銅版画のテクニック」 深澤幸雄 著 ダヴィッド社 1966年

監修
今井庸介 通信教育課程油絵学科非常勤講師

作成日・改訂
2008年09月19日作成

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  • 銅版画用インク(黒)銅版画用インク(黒)
  • 銅版画用インク(カラー)銅版画用インク(カラー)

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