寒冷紗 かんれいしゃ

Cheesecloth

寒冷紗は、銅版画の印刷の際に版面の余分なインクを拭き取るために用いられる、目が粗く薄地で硬い織布です。以前は主に麻を原料として作られていましたが、現在はレーヨンなどの人工素材や木綿などを原料として作られています。凹版画には木綿のものが適しています。

新しい寒冷紗を使用する際は、事前に1mほどの長さに裁断し、揉みほぐしたり、軽く水に浸け乾燥するなどして、柔らかくしておきます。寒冷紗は、ゴムベラなどで凹部にインクを詰め込んだ後、余分なインクを拭く作業に使用します。直径10cmほどのたんぽ状に丸めて、底部を平らにし、皺が寄らないよう張った状態にします。拭き取りは、軍手などを着用し、丸めた寒冷紗の平らにした底部を使用します。凹部に詰められた必要なインクを掻き取らないように注意し、余分なインクだけを拭き取ります。寒冷紗は、段階ごとに荒拭き、中拭き、仕上げ拭きの3種類を用意すると良いでしょう。汚れたら丸め直し常にきれいな面が版に接するようにしましょう。荒拭きは、汚れた寒冷紗を使用し、円弧を描くように拭くことで、不必要なインクの大部分を取り去ります。中拭きは、荒拭きの時よりもきれいな寒冷紗に替えて、すばやく摩るように動かします。力を入れすぎてしまうと必要なインクも拭き取ってしまうため加減が必要です。仕上げ拭きでは、新しい寒冷紗に替えて、凹部からはみ出たインクだけを拭き取るようにします。さらに版面に残っているインクの油膜を調整したい場合には、キュプラや人絹、紙、手のひらを使って磨くように拭きあげます。
使用した寒冷紗は外気に当たったまま保管すると、固まってしまうため、新聞紙に広げて挟み込み、ビニール袋などで密封した状態で保管すると良いでしょう。

寒冷紗は、版画以外にも建材の一部や農業用の虫除け、日除けなど幅広く使用され、身近な加工製品ではカーテンやハンカチ、蚊帳の材料として使用されています。また、絵画の制作においては基底材の一部として、製本では綴じた本の背の補強として用いられることもあります。
寒冷紗は、版画材料を扱う画材店、農業用品を扱うホームセンターなどで購入できます。

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参考文献
・「版画事典」室伏哲郎 著 東京書籍 1985年
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室 編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「銅版画の技法」 菅野陽 著 美術出版社 1962年
・「銅版画のテクニック」 深澤幸雄 著 ダヴィッド社 1966年
・「銅版画のマチエール」 駒井哲郎 著 美術出版社 1992年

監修
今井庸介 通信教育課程油絵学科非常勤講師

作成日・改訂
2008年09月19日作成

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