プレートオイル ぷれーとおいる

Plate Oil

プレートオイルは、銅版画の制作において、顔料と練り合わせて銅版画用インクを作る際や、インクの粘度を調整する際に用いられる焼亜麻仁油(バーント・リンシードオイル)のことです。

プレートオイルは銅版画用インクの中に、顔料を画面に固着させる媒質として練り込まれています。インクには、凹部に詰めたインクがプレスの圧ではみ出さない程度の硬さと、余分なインクの拭き取りやすさが求められ、顔料と練り合わせる媒質の油は、粘りが少なく腰が強い、適度な硬さが必要とされます。このため、プレートオイルと呼ばれる亜麻仁油を焼き脂肪分を飛ばした油を媒質として用いることで、銅版画に最適なインクを作ることができます。

プレートオイルを作る場合には、まず、亜麻仁油を深底の鍋に入れ煙が出るまで加熱します。煮え立つ寸前に油の表面に点火し、火から下ろします。油は点火すると炎をあげて燃えるので、適度な時間をおいて鍋に蓋をし、空気を遮断して、火を消します。この油を燃やす時間の長短により、油の粘度が変わります。燃やす時間が短いと軟らかい油となり、長いと硬い油になります。硬さの加減は、版の仕上げ方や好みによって異なるので、粘度の違うものをいくつか作っておくと便利です。なおこの作業は強い悪臭と煙が出て、火災の危険を伴うため、必ず野外で行うようにします。
市販されているプレートオイルには、粘度の違いがいくつかあるため、目的により使い分けるのが良いでしょう。プレートオイルは、版画用品を取り扱っている画材店にて購入することができます。

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参考文献
・「絵画材料事典」 R.J.ゲッテンス・G.L.スタウト/著 美術出版社 1999年
・「事典プリンツ21」 室伏哲郎/著 プリンツ21 1997年
・「銅版画の技法」 菅野陽/著 美術出版社 1962年
・「銅版画のテクニック」 深沢幸雄/著 1966年

監修
今井庸介 通信教育課程油絵学科非常勤講師

作成日・改訂
2008年07月18日作成