しゃく

Shaku

「尺(しゃく)」は、尺貫法(しゃっかんほう)における長さの単位のひとつです。尺貫法とは、1891年の度量衡法(どりょうこうほう)によって定められた計量の方法で、長さの単位を「尺」、体積の単位を「升(しょう)」、質量の単位を「貫(かん)」とするものです。その後いくつかの段階を経て1959年にメートル法に統一されるまで、日本における度量衡の単位として使用されてきました。

「尺」という単位は、701年の大宝律令で大尺と小尺が制定されて以来、江戸時代には様々な「尺」が使用されていました。例えば、徳川吉宗が制定した「亨保尺(きょうほうしゃく)」や、「又四郎尺(またしろうしゃく)」と呼ばれるものがありました。さらに、伊能忠敬が全国を測量する際に用いた「折衷尺(せっちゅうしゃく)」というものもありました。これは「亨保尺」と「又四郎尺」の長さを折衷したものとされています。
現在では、長さを計る単位はすべてメートル法に統一されていますが、今でも使用が許されている「尺」として、「曲尺(かねじゃく)」と「鯨尺(くじらじゃく)」の2種類があります。「曲尺」は尺貫法の基本単位だったもので、1891年の度量衡法では、1尺は10/33m(約30.30cm)と定められていました。今では、日本家屋などの建築に用いられています。また「鯨尺」は曲尺の1.25倍にあたり(1尺=約37.88cm)和裁に用いられていました。

日本語の中では、長さの概念を示す言葉として日常的にも、尺、寸(1/10尺)、分(1/10寸)などがしばしば使われています。たとえば、長さの不足を示す「寸足らず」「尺足らず」、隙間のないことを示す「1分の隙間もない」「寸秒を競う」、図面の寸法を示す「縮尺」「原寸」などが代表的です。
歌舞伎大道具、材木寸法などでは、単位寸法としていまだに活用されています。例えば、ベニヤ板は6尺×3尺(三六判)が基準となっています。

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参考文献
・「単位の事典」二村隆夫/監 丸善 2002年
・「単位171の新知識」星田直彦/著 講談社 2005年
・「度量衡の事典」阿部猛/著 同成社 2006年
・「単位の記号 雑学事典」白鳥敬/著 日本実業出版社 2001年
・「トコトンやさしい単位の本」山川正光/著 日刊工業新聞社 2002年
・「図解 建築用語辞典」図解建築用語辞典編集委員会/編 理工学社 2004年
・「建築学用語辞典」日本建築学会/編 岩波書店 1999年

監修
小石新八 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2007年10月12日作成