砥石 といし

Sharpening Stone

砥石は、版画の制作において木版画で使用する彫刻刀、木口木版で使用するビュラン、銅版画で使用するニードルやスクレーパーなどの様々な刃物を研ぐ際に使用する石のことです。

彫刻刀やビュランなどの切れ味が鈍くなってしまった場合や、刃が欠けてしまった場合には、版を彫り進めるのが困難になるために砥石を使用して刃を研ぐ必要があります。
砥石は、水を使用して研ぐ水砥石と油を使用して研ぐ油砥石(オイルストーン)の二つに分けられ、水砥石、油砥石の両方において天然製のものと人工製のものがあります。

木版画で使用する彫刻刀を研ぐ際には、水砥石を使用します。水砥石には粒子の大きさによって、荒砥石、中砥石、仕上げ砥石の3種類があります。荒砥石は刃が大きく欠けた場合などに使用しますが、通常の場合には中砥石から仕上げ砥石の順番で使用します。荒砥石、中砥石は、吸水性が高いため使用する前にあらかじめ水に浸しておき、使用する際には、水からあげて砥石台や雑巾の上に固定して動かないようにして使います。平刀、切り出し刀の研ぎは、刃の形状に合わせて表刃の傾斜を砥石に平らに当てて研ぐようにします。丸刀の場合には、表刃の傾斜を砥石に当て半回転させて左右に動かしながら研ぎ、三角刀は、片刃ずつ研ぐと良いでしょう。研いだ際には刃の裏側にまくれができるため、裏刃を砥石に平らに当てて軽く研ぐようにします。丸刀や三角刀は砥石棒や耐水性の紙やすりを使用して、裏刃を研ぐと良いでしょう。中砥石で刃の形状を整えることができたら仕上げ砥石に移り中砥石と同じ様に研ぎましょう。

木口木版で使用するビュランや、銅版画で使用するニードル、スクレーパーなどを研ぐ際には、油砥石を使用します。油砥石では、アーカンサスオイルストーン(天然製)、インディア砥石(人工製)などが代表的です。特にアーカンサスオイルストーンは、きめが細かく良質な天然砥石とされていて、鋭い研ぎ味のとても高価な砥石です。油砥石を使用する際には、砥石の上に機械油を数滴垂らし、彫刻刀と同様に、刃の傾斜を砥石に平らに当てて研磨します。油砥石の代用として耐水ペーパーを使用する時には、平滑な板の上で行なうようにし、1000~1500番程度のものを使用すると良いでしょう。

砥石は版画用品を扱う画材屋や、ホームセンターなどで購入することができます。

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参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年
・「版画 進化する技法と表現」佐川美智子/監 岡部万穂/編 文遊社 2007年

監修
塙太久馬 通信教育課程油絵学科非常勤講師

作成日・改訂
2008年10月03日作成

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  • 砥石と彫刻刀の当て方砥石と彫刻刀の当て方

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