CD しーでぃー

CD

CDといえば一般的にCD-DA(Compact Disc Digital Audio)を指しますが、直径80mm或いは120mm、容量700MBまでの光ディスクの総称でもあります。CDに関連するロゴや名称としてCD-ROM, PhotoCD, CD-R, CD-RWなどを目にすることもありますが、媒体組成の差異と記録フォーマットのそれを同列に取り扱っていることから、用途・目的に対する適合性をユーザーが判断し難い状況が生じています。ここでは記録原理や記録フォーマットに関連した部分について述べていますが、媒体組成に関連した部分については各々の媒体名の項目を参照してください。

CDはポリカーボネート樹脂を基材として、金属(主にアルミ)薄膜による反射層と保護層を積層プレス成型した円盤状の記録メディアで、デジタル情報をピットと呼ばれる突起形状として金属薄膜上に記録しています。この反射層にレーザー光を照射するとピット部は光の干渉によって反射が弱まるため、ピットの前縁と後縁の位置を検出して情報を読み取ることができます。中心部から外周部に向けて渦巻き状に配置されたピットは線速度一定(CLV:Constant Linear Velocity)で読み取られるので、中心部から外周部へと近付くに従ってディスクの回転数は低下します。音楽再生以外の用途では磁気記録方式のメディアと同様に角速度一定(CAV:Constant Angular Velocity)に切り替える駆動装置(ドライブ)もあります。CD-DAのように音楽を記録するものとCD-ROMのようにデータを記録する用途では、媒体組成や製造工程に違いはなくとも記録フォーマットは異なり、特に誤り検出と訂正に関して前者はCIRC(Cross-Interleaved Reed-Solomon Code)を用いるのに対し、後者ではEDC(Error Detection Code)とECC(Error Correction Code)も加えて誤り訂正を強化しています。CD-ROMで利用できるファイルシステムとしてISO9660, ISO9660 Joliet Extensions/Romeo Extensions, HFS(Hierarchical File System),HFS+などが挙げられます。(HFSとHFS+についてはMacOSに依存した実装なので他の環境では利用できませんがHFS+とISO9660 Level1のハイブリッド構成を採る場合にはISO9660部分のみ互換性があります。)尚、駆動装置や光記録メディアにおける「○倍速」のような表記はCD-DA再生時のデータ転送速度を1とした倍率をいいます。

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参考文献
・「光ディスクのおはなし」三橋慶喜/著 日本工業規格協会 1989年
・「コンパクトディスク読本(改訂3版)」中島平太郎・小川博司/著 オーム出版局 1996年
・「コンパクトディスク20年の歩み」CDs21ソリューションズ 2005年
・「長期保存のための光ディスク媒体の開発に関するフィージビリティスタディ」財団法人機械システム振興協会/作成 財団法人デジタルコンテンツ協会/委託先 2006年
・「ディジタルイメージクリエーション デザイン編CG」デジタルイメージクリエイション編集委員会/編 CG-ARTS協会 2001年
・「コンピュータグラフィックス」コンピュータグラフィックス編集委員会/編 CG-ARTS協会 2004年
・「デジタル映像制作ガイドブック」デジタル映像制作ガイドブックプロジェクト/著 株式会社ワークスコーポレーション 2004年
・「DTP&印刷しくみ事典」ワークスコーポレーション エデュケーション編集部/編 株式会社ワークスコーポレーション 2005年

参考ウェブサイト
OSTA
ECMA
TDK Life on Record
CDs21ソリューションズ
日本規格協会
JEITA規格リスト
SMPTE規格リスト

監修
堀越洋一郎 通信教育課程デザイン情報学科教授

作成日・改訂
2008年02月13日作成