CD-RW しーでぃーあーるだぶりゅー

CD-RW

CD-RW(CD-ReWritable)は(Orange Book PartIIIで規定)記録層に金属系相変化物質を用いた書換型メディアで、レーザー光による加熱により本来結晶質である物性を非結晶質(アモルファス)状態に転移させて情報を記録します。そのため書き込まれた情報は再加熱によって消去することが可能であり、再書き込みも可能になります。媒体のジオメトリと駆動装置は通常のCDと互換性がありますが、結晶質、非結晶質いずれの状態でもレーザー光の反射率が低く、マルチリード型と呼ばれる駆動装置でなければ読み取れない場合もあります。また、相変化物質の急激な加熱と冷却が必要なことから原理的に高速な書き込みを実現することが難しいという問題もあります。

メディア寿命はCD-Rの有機色素系よりも金属系の方が経年劣化が少なく有利ですが、温度と湿度の上昇が寿命を大幅に短縮させることが判っているので、保存は乾燥した冷暗所で行うことが望まれます。

CD-RWもCD-Rと同じくメディア全体の情報を一括して書き込むDAO(Disc At Once)、インクリメンタルライトと呼ばれるトラックアットワンス(TAO:Track At Once)、セッションアットワンス(SAO:Session At Once)、パケットライト(Packet Write)の方式で情報を記録・追記することができます。ところが残念なことにOSやアプリケーションの設定によってはCD-RではTAOでの書き込み、CD-RWではパケットライトと予めメディアの種類が記録フォーマットと関連付けられていることも珍しくなく(パケットライトで使用を開始する際の長時間の初期化処理を嫌って)CD-RWを利用しないユーザーも少なくないようですが、本来はユーザーが主体的に選択すべきものです。パケットライトのファイルシステムはアプリケーション依存となっているので独自規格を採用している場合には互換性が問題になることもありますが、UDF(Universal Disk Format)を採用している場合にはクローズ処理を行うことで互換性に問題を生じることは少ないようです。CD-RWにおけるパケットライトでは実際にファイルの書き換えが行われることがCD-Rのそれとは異なっています。尚、どのように書き込まれたメディアであっても全体を一括して初期化(消去)することはいつでも可能ですが、高速消去と呼ばれる方法では記録済みの全ての情報が消去される訳ではないので注意が必要です。

テキストを全て表示

参考文献
・「光ディスクのおはなし」三橋慶喜/著 日本工業規格協会 1989年
・「コンパクトディスク読本(改訂3版)」中島平太郎・小川博司/著 オーム出版局 1996年
・「コンパクトディスク20年の歩み」CDs21ソリューションズ 2005年
・「長期保存のための光ディスク媒体の開発に関するフィージビリティスタディ」財団法人機械システム振興協会/作成 財団法人デジタルコンテンツ協会/委託先 2006年
・「ディジタルイメージクリエーション デザイン編CG」デジタルイメージクリエイション編集委員会/編 CG-ARTS協会 2001年
・「コンピュータグラフィックス」コンピュータグラフィックス編集委員会/編 CG-ARTS協会 2004年
・「デジタル映像制作ガイドブック」デジタル映像制作ガイドブックプロジェクト/著 株式会社ワークスコーポレーション 2004年
・「DTP&印刷しくみ事典」ワークスコーポレーション エデュケーション編集部/編 株式会社ワークスコーポレーション 2005年

参考ウェブサイト
OSTA
ECMA
TDK Life on Record
CDs23ソリューションズ
日本規格協会
JEITA規格リスト
SMPTE規格リスト

監修
堀越洋一郎 通信教育課程デザイン情報学科教授

作成日・改訂
2008年02月13日作成