遠近法 えんきんほう

Perspective

分類

遠近法とは、我々の目の前に存在する3次元の空間を、2次元である平面(絵画や図面など)上に「遠い・近い」「高い・低い」「広い・狭い」などの空間的関係性を損なうことなく表現する方法です。
一般に「遠近法」という語は、狭義においては、ルネサンスの時代に確立された「線遠近法」を指します。広義においては、空気遠近法、色彩遠近法、消失遠近法、曲線遠近法、上下遠近法、重畳遠近法、斜投象法など、この他にも多数存在する遠近表現の総称として、この語が用いられます。
西洋絵画の歴史において、遠近感を表そうとする試みは、先史時代から見られますが、これを「線遠近法」として科学的に体系化をしたのは、15世紀、イタリアのルネサンス期に活躍したブルネレスキやアルベルティだといわれています。さらに、ピエロ・デッラ・フランチェスカや、レオナルド・ダ・ヴィンチらの手によって、その理論は完成されたものになっていきます。
一方、東洋においても独自の遠近表現が追及され、その代表的な考えとして「三遠」と呼ばれるものがあります。これは、高遠(高く仰ぎ見る)、深遠(向こう側を見通す)、平遠(水平の広がりを見る)により成り立つというもので、中国の宋代に確立した概念です。これは西洋の合理主義的な考え方と比べ、感覚的・思想的な面も多く含まれているといえます。ちなみに、西洋の遠近法が日本に伝えられたのは江戸時代のことで、その後の日本の絵画に大きな影響を与えることになりました。

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参考文献
・「絵画の教科書」 日本文教出版
・「日本大百科全書」 小学館
・「アートとは何か」 通信教育課程教科書
・「新潮 世界美術辞典」 新潮社
・「日本美術用語辞典」 東京美術
・「オックスフォード西洋美術辞典」 講談社
・「初めて学ぶ遠近法」 エルテ出版
・「透視図の基本」 美術出版
・「遠近法の技法」 同朋社出版
・「アートテクニック大百科」 美術出版
・「遠近法の技法」 同朋社出版
・「アートテクニック大百科」 美術出版

監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授
島眞一  通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2007年06月14日作成