フォント ふぉんと

Fonts

フォントとは、もともと同じ書体で同じ大きさの金属活字の一揃えのことを意味する言葉でした。一揃えというのは、例えば欧文ではアルファベットの26文字だけでなく、それぞれの大文字、小文字、ローマン体とイタリック体、数字や約物(ピリオドやカンマなどの句読点や括弧などの、記述記号を含む記号類のこと)などを含む1セットという意味です。

コンピュータによる文字組みが普及し、文字の大きさが自由に変えられるようになった今では「フォント」と言った場合、もともとあった同じ大きさという意味は薄まり、ほとんど「書体」という言葉と同義で使われるようになっています。また、DTPの作業の上で「フォント」と言った場合、ある書体のデータのことを指していることが一般的です。この場合金属活字とは区別する意味で、デジタルフォントと呼ぶ場合もあります。コンピュータ上で文字を表示したり、プリンタで文字を出力したりするためには、このデジタルフォントが必要になります。

デジタルフォントは、ビットマップフォントとアウトラインフォントの二つに大別されます。ビットマップフォントは文字の形を小さな点の集まりとして記録するもので、文字の大きさが大きくなると形が荒くなる欠点があります。今日では、レシートの印字など、文字の緻密さを要求しないところで使われています。アウトラインフォントは文字の形を数値のデータとして保存しているもので、拡大縮小による劣化がなく、印刷物の出力に使われるフォントです。(ただし出力機の性能には依存します。)フォントはコンピュータに標準的に搭載されているものもありますが、DTPなどで新しいフォントが必要になった場合や、微妙な書体の違い求められるデザインでは、メーカーから、別途フォントを購入しなくてはなりません。

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参考文献
・「レタリング・タイポグラフィー」後藤吉郎 小宮山博史 山口信博/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「グラフィック・デザイン&デザイナー事典」アラン&イザベラ・リヴィングストン/著 薮亨 渡辺真/訳 晃洋書房 2005年
・「デジタル・デザインのための印刷ガイドブック」アドビプレス/著 猪俣裕一/監修 エムディエヌコーポレーション 1999年
・「DTP&印刷しくみ事典」ワークスコーポレーション エデュケーション編集部/編 ワークスコーポレーション 2005年

監修
横溝健志 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2009年03月13日作成

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  • ビットマップデータビットマップフォントは、文字を点の集まりで表示します。ビットマップフォントは、文字を点の集まりで表示します。
  • アウトラインフォントアウトラインフォントは、文字の輪郭が曲線情報を持っています。アウトラインフォントは、文字の輪郭が曲線情報を持っています。

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