タイプフェイスデザイン たいぷふぇいすでざいん

Typeface Design

タイプフェイスという言葉は、もともと金属活字の字面(じづら)を意味しましたが、次第に、活字の字面の一式がある様式で統一されデザインされていることを指すようになりました。今では活字に代わりデジタルフォントとしてコンピュータに搭載され利用されています。日本語では「書体」といいます。

タイプフェイスは、印刷術の発明以来、様々なデザインが作られてきました。和文では明朝体、ゴシック体、楷書体など、また欧文ではローマン体、サンセリフ体などそれぞれ10種類前後のおおまかな分類ができます。各時代に作られた、優れたタイプフェイスは、数百年の年月に耐え、今でもデジタルフォントに姿を変えて利用されているデザインも少なくありません。

タイプフェイスデザインは、活字の時代には、同じ書体でも文字の大きさごとに、職人が一字一字を金属や木片に直接刻んで揃えました。それを元の字(種字)として母型を作り鉛で鋳造して活字としました。その後、紙に大きく書かれた原字を機械的になぞり、その動きを小さな活字の大きさに縮小して母型を刻むなどの改良があり、次の写真植字の時代でも文字のデザインは一字一字を紙に筆と烏口を使って描かれてきました。文字を作っていく作業は、それぞれの文字を形態として統一感を持たせるだけでなくすべての文字が同じ大きさや太さに見えるように作る必要があり、見た目の微妙な調整が必要な作業です。かつてそれは種字を刻む職人の美意識や技術に委ねられていました。今ではタイプフェイスデザイナーという専門家の仕事となり、コンピュータのモニタ上の作業になりましたが、そこに求められるものは変わらず、時代への感性と普遍的な造形への美意識です。また、それぞれのタイプフェイスは、作られた時の時代背景や使用目的などに深く結びついているので、その使用に際しては、そのタイプフェイスにふさわしい使い方が求められます。

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参考文献
・「タイプフェイスデザイン事始」今田欣一/著 欣喜堂 2000年
・「グラフィック・デザイン&デザイナー事典」アラン&イザベラ・リヴィングストン/著 薮 亨/訳 晃洋書房 2005年
・「現代デザイン事典 2007年度版」勝井三雄 田中一光 向井周太郎/監修 平凡社 2007年

監修
横溝健志 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2009年02月24日作成

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  • 和文書体の一例上から、明朝体、ゴシック体、楷書体、行書体上から、明朝体、ゴシック体、楷書体、行書体
  • 欧文書体の一例上から、モダン・ローマン体、オールド・ローマン体
サンセリフ体、スクリプト体上から、モダン・ローマン体、オールド・ローマン体 サンセリフ体、スクリプト体

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