美濃紙ができるまで 11

11.乾燥

脱水した紙床より和紙を一枚づつはがして、紙の表(おもて)を手前側にして干し板(ほしいた)に張り付けていきます。張り付ける時は、紙に傷やしわがつかないように馬のたてがみでできた刷毛で表面を撫でながら張り付けます。張り終えた板は、野外に出し天日干しをして乾燥させます。天気が良ければ、2〜3時間程度で乾くそうです。

【 道具・材料解説 】

干し板(ほしいた):漉き上げた和紙を張り付け、天日で乾かすときに用いる板で、イチョウやトチノキなどの木材が使用されています。また、板の各面の端に一カ所だけ角材が貼付けてあり、重ねたときに隙間ができ扱いやすくなるとともに、干しているときにその角材が上にあるか下にあるかで、干したタイミング(午前中は上向き、午後は下向きなど)の目印にもなっています。美濃竹紙工房の干し板は、大きさが高さ約215cm、幅約70cmの栃の木の一枚板で、100年近く使用しているとのことでした。ちなみに、傷などが入った板は、和紙などで傷部分を補修しながら大事に使い続けられていました。

刷毛(はけ):漉き上げた和紙を、干し板に張り込むときに用いる幅広の刷毛で、摩擦や水に強く、適度なコシをもつ馬のたてがみを利用しています。張り込み作業は、和紙の仕上がりにも影響するため、傷やシワにならないようにするのはもちろん、均一な張り具合も要求されます。一枚ずつ丁寧に和紙表面をまんべんなく撫でながら張り付けていきます。
ちなみに、今回使用されていた刷毛は、全長31cmで毛の部分は長さ6cm、幅は22cmあり、形状は美濃特有の形とのことでした。

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