CD-R しーでぃーあーる
CD-R
CD-R(CD-Recordable)は(Orange Book PartIIで規定)記録層にアゾ系、シアニン系、フタロシアニン系などの有機色素を用いた追記型メディアで、レーザー光による加熱で色素を分解・消失させて情報を記録するため、一旦書き込まれた情報は書き換えたり消去したりすることができません。媒体のジオメトリと駆動装置は通常のCDと互換性があり、大量生産に馴染まない(少量・多品種の生産や、個人レベルでの記録・配布などの)用途において多用されています。ただし、一般的に長いといわれているメディア寿命は加速劣化試験による推定であり、温度と湿度の上昇や紫外線が寿命を大幅に短縮させることが判っているので、保存は乾燥した冷暗所で行うことが望まれます。
CD-Rを使用する上での難解さの原因には、幾つもの書き込み方式があることが挙げられます。メディア全体の情報を一括して書き込むDAO(Disc At Once)はいずれの記録フォーマットにおいてもCDとの互換性が高く、CD-Rの使用を前提としていないオーディオ機器や電子機器でも利用できる可能性がありますが、容量に余裕があっても追記できないなどの理由で使い勝手はいまひとつです。この点を改善した書き込み方式はインクリメンタルライトと呼ばれトラックアットワンス(TAO:Track At Once)、セッションアットワンス(SAO:Session At Once)、パケットライト(Packet Write)の方式があります。TAOによる書き込みでは、記録・追記した最終セッションのみを有効とすることも、マルチセッションを構成して既存の任意のセッションに対して追加・削除に相当する効果を得ることも可能です。しかし、いずれの場合でも一旦書き込んだデータは(不可視の状態になっていたとしても)消去されずにそのまま累積しているのでメディアの使い回しには注意が必要です。パケットライトは原理的にTAOとよく似た書き込み方式ですが、エンドユーザーに提供される形態では、専用の常駐型ソフトウェアを介して光記憶メディアをあたかも大容量のフロッピーディスクのように取り扱うことをいいます。見かけ上はファイル単位での追加や削除が可能ですが、記録内容を書き換えている訳ではないので無記録領域を使い尽くした時点で読み取り専用の状態におちいります。尚、MacOSでHFSやHFS+ファイルシステムとして書き込まれたメディアは追記できません。
関連科目
参考文献
・「光ディスクのおはなし」三橋慶喜/著 日本工業規格協会 1989年
・「コンパクトディスク読本(改訂3版)」中島平太郎・小川博司/著 オーム出版局 1996年
・「コンパクトディスク20年の歩み」CDs21ソリューションズ 2005年
・「長期保存のための光ディスク媒体の開発に関するフィージビリティスタディ」財団法人機械システム振興協会/作成 財団法人デジタルコンテンツ協会/委託先 2006年
・「ディジタルイメージクリエーション デザイン編CG」デジタルイメージクリエイション編集委員会/編 CG-ARTS協会 2001年
・「コンピュータグラフィックス」コンピュータグラフィックス編集委員会/編 CG-ARTS協会 2004年
・「デジタル映像制作ガイドブック」デジタル映像制作ガイドブックプロジェクト/著 株式会社ワークスコーポレーション 2004年
・「DTP&印刷しくみ事典」ワークスコーポレーション エデュケーション編集部/編 株式会社ワークスコーポレーション 2005年
参考ウェブサイト
・OSTA
・ECMA
・CDs21ソリューションズ
・日本規格協会
・JEITA規格リスト
・SMPTE規格リスト
監修
堀越洋一郎 通信教育課程デザイン情報学科教授
作成日・改訂
2008年02月13日作成