紙粘土 かみねんど
Paper Clay
紙粘土は、パルプを主原料とし、水や糊を混ぜ合わせたものが一般的で、比較的安価で、手軽に使用することができます。主な特長として、乾燥すると軽くなり、硬化します。(紙粘土と同じく安価で扱いやすい油粘土とはこの点で大きく異なり、油粘土は時間が経っても硬化しません。)
紙粘土は、成形に際して、針金や割り箸、発泡ウレタンなどを芯材として使用することで、造形の表現の幅を広げることができ、制作物に強度や安定感も出せます。また芯材を用いる分、紙粘土の使用量を減らすことができ、乾燥する時間も短くすることができます。針金のように細い材料や、表面が滑りやすい素材を芯材として使用する時は、芯材に麻ヒモなどをグルグルと巻いた上に粘土を付けると、食いつきがよくなります。成形の途中で粘土を継ぎ足す時は、表面に水を付け、同じやわらかさにしてから継ぎ足すと良いでしょう。紙粘土は、完全に乾燥した後、削って成形していくことも可能です。また完成品に、絵具や塗料で色付けをすることも、成形する前に水溶性の絵具を混ぜ込んで色つきの紙粘土を作ることもできます。
紙粘土の商品の中には、乾燥すると真っ白になるもの、とても軽いもの、よく伸びるものなどがあります。また原材料に石粉が入っているものもあります。各商品によって、密度による重さの違いや、硬化後の堅さなどが違いますから、商品パッケージで特長を確認し、用途に応じて選びましょう。例えば、密度があって堅くなるもののほうが、乾燥後にヤスリなどで成形する時に、ポロポロと崩れてしまうことが少なく、細かい作業がしやすいといえます。(なお、見た目が紙粘土と似たものに、樹脂粘土があります。こちらは、乾燥すると非常に堅くなるもので、紙粘土とは別のものです。)
一度開封した紙粘土を長期間保存する場合は、粘土の水分を逃がさないように、密閉できる容器で保管します。この時、濡らしたティッシュなどを一緒に入れておくのも良いでしょう。紙粘土は画材店やホビー用品店、文房具店で購入することができます。
関連項目
関連科目
参考文献
・「ものづくり 道具のつかい方事典」峰尾幸仁/監修 岩崎書店 2002年
・「紙粘土人形をつくる」井上美紀子/著 大月書店 1984年
監修
田中克明 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授
作成日・改訂
2008年12月25日作成