木枠 きわく

Stretcher Frames

木枠は、主に油彩画の支持体であるキャンバス(画布)を張り留めるための矩形をした木製のフレームで、画枠(がわく)とも呼ばれています。

木枠の基本構造は、木製の角材がフレームの各辺として組まれ、木枠サイズに応じて補強のため、格子状に桟(さん)が入っています。また、木枠の角材には表面と裏面があり、角が丸められていたり、やや傾斜のある面などが表面になります。これは、キャンバスを張って描画をする際に、筆先などが木枠部分に接触し難くするためです。また、張り具合を調整するために、木枠の角にくさびを打ち込むものなどもあります。木枠の材料は、主に杉や桐(きり)などの木材が使われています。杉材は丈夫で曲がり難く、キャンバスを剥がし新たに張るなどの再利用が可能です。桐材はとても軽量ですがやや強度が劣り、再利用も杉材ほどできません。また近年、環境問題などから小口径の杉や桐を使用した集成材の木枠も市販されています。これは複数の木材を集成しているので反りなどが無く、純粋な杉材よりも安価な上に軽量で、ある程度の再利用も可能です。その他に特殊な木枠として、携帯を容易にするため、木枠を2つ折りにできるように、長辺の中央に蝶番(ちょうつがい)が付いたものや、木枠の厚さを通常のものよりも厚くし、キャンバスを包み張り(キャンバスを木枠の側面で留めるのではなく、裏面で留める方法)することで、側面への描画などを可能にしたものなどがあります。
良い木枠を見分けるポイントは、「木材が完全に乾燥しているか」、「木目がしっかり詰まっているか」などの点を確認しましょう。

木枠の大きさについては、現在のように、特定の規格で決められた大きさの画面に描き始めるようになったのは18世紀後半からといわれ、それまでは作品が完成してから、絵の大きさに合わせて木枠を作るのが一般的でした。今日の国内における絵画標準サイズは、フランス規格を基に作られた規格で、号数による大きさの区分やF型・P型・M型などと呼ばれる縦横比の異なる形状、様々な木枠サイズ間における各辺の長さの互換性を考慮して定められています。

取扱いの注意として、木枠を組むときに桟を組み込む場合は、枠部分と同様に裏表があり、丸みのある方が表になるように取り付けましょう。
木枠は、一般的な画材店で購入できます。

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参考文献
・「絵画(素材・技法)」武蔵野美術大学油絵学科研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「画材の博物誌」森田恒之/著 中央公論美術出版 1994年
・「絵画材料事典」R・J・ゲッテンス・G・L・スタウト/著 森田恒之/訳 美術出版社 1999年
・「油絵 材料と表現」美術手帖増刊号編集部編/編 美術出版社 1984年
・「絵画技術全書」クルト・ヴェールテ/著 佐藤一郎/監 美術出版社 1994年
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」美術出版社 2000年

参考ウェブサイト
・「2002-2006年 造形ファイル」 武蔵野美術大学
・マルオカ工業株式会社

監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2008年12月19日作成

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