イーゼル いーぜる
Easel
イーゼルは、絵画制作やデッサンの際に、描きやすい位置や高さに支持体やカルトンなどを固定するための器具で、画架(がか)とも呼びます。
イーゼルの種類は、支持体の大きさや制作環境に合せて多種に渡りますが、一般的に室内用として利用される形状は、3本の脚(前脚2本と後脚1本)により自立する構造のイーゼルです。支持体などをのせる部分として、受台(うけだい)と呼ばれる水平に設置された横板があり、ネジやホゾなどで高さが調節できます。材質は木、鉄、アルミなどがあり、サイズも、座って描く用の背の低いものから、立ちながらの制作や大きい支持体にも対応できる背の高いものまで様々です。また、野外用イーゼルとして、3本の脚を折り畳むことができ、軽い材質のものもあります。その他に、100号程度の支持体が設置可能な大作用イーゼルは、土台や柱が角材によりしっかり組まれ、安定感のある構造を持ちます。さらに、移動用車輪、傾斜角度可変、受台の昇降レバーなどの機能を備えたものもあります
イーゼルの基本的な配置の仕方(モチーフを見ながら描く場合)は、光の向きを留意し、イーゼルと作者が向き合った際に、モチーフの位置が左45度の向きにくるように設置します。これは、顔の移動を最小限に抑え、右利きの作者の描画する手が視野に入らないようにするためです(左利きの方は、右45度の向きがよい)。位置が決まった後、後脚を適宜に広げて制作しやすい傾斜にし、受台の高さや水平を調節します。この時、支持体の高さは、画面の中心が目の高さより若干下の位置に来るように調整します。また、画面との距離は、腕を軽く曲げると届く程度の位置がよいでしょう。ただし、これは理想的な配置例で、実際は光の向きや制作環境により変更する場合もあります。
イーゼルの語源は、ラテン語のasinus(馬の一種であるロバ)から由来し、絵画制作と共に古くから存在していました。起源は不明ですが古代エジプトのレリーフには、イーゼルに似たものがすでに彫られています。19世紀に入り、ほぼ現在の形態に近いものになり、チューブ式絵具が生まれたことで野外での制作が行われ、それに伴い野外用のイーゼルも誕生しています。
取り扱いの注意として、3脚式イーゼルの場合、前脚と後脚が過度に広がり転倒する場合があります。そのため、あらかじめ前脚と後脚を紐で結んだり、留め金で固定しましょう。
イーゼルは、画材店で購入できます。