三角定規 さんかくじょうぎ
Triangle
三角定規は、平行線や垂直線、角度の付いた線を正確に引くための製図用具です。通常、角度の違う2枚の直角三角形の板が1組となっています。1枚は、それぞれの角が90°60°30°で、もう1枚は90°45°45°の二等辺三角形になっています。目盛は付いているものと、付いていないものがあり、プラスチックやアクリルでできた透明な製品には、方眼が入っているものもあります。材質は他に、ステンレス製や木製のものがあります。大きさは様々で、製図用としては10cm程度のものから40cm程度のものが一般的です。より大きなものは、小学校の授業で黒板に線を引く時などによく使用されています。
三角定規を使って水平・垂直線を引く時は、この2枚の定規を組み合わせて使用します。同様に2枚の組み合わせによって、30°45°60°90°の角度を活用した斜線も引くことができます。(T定規と組み合わせて使用することもできます。)例えば平行線を引く場合は、2つの定規をしっかり固定し(図版の写真を参照)、右側の定規は上から下方向に移動させ、線は左から右方向に引いていきます。
三角定規は、明治時代初期には「三角規」という名称で文献に登場し、当時は主に直角を見ることが目的だったようです。そのため直角部分以外の角はまちまちでしたが、明治中期には、現在のような90°60°30°と90°45°45°の2枚の組み合わせによって、水平・垂直・斜線を引く目的で利用されていたようです。
三角定規の他に、見た目が似ていて、同じく角度の付いた線を引くことのできる定規として、勾配定規があります。分度器の付いた目盛板で接続された、可動式の2枚の三角形の板からできており、この2枚の角度を目盛で調節しながら使用します。三角定規だけでも、角の組み合わせでいろいろな角度を作ることができますが、この勾配定規を使用すると、任意の角度の線を引くことができます。また勾配定規を使って角度を測定することもできます。この他に製図以外の目的の三角定規には、海図を読むための航海用三角定規があります。三角定規や勾配定規は、文具店や画材店、製図用品を取り扱うお店で購入できます。
参考文献
・「ドローイング・モデリング」横溝健志 小石新八/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「だれにでもわかる製図用具の正しい使い方」工藤竹美/著 工業調査会 1980年
・「図画工作・美術用具用法事典」相田盛二/著 日本文教出版株式会社 1996年
・「ものづくり 道具のつかい方事典」峰尾幸仁/監修 岩崎書店 2002年
・「大人の初等数学」片野善一郎/著 裳華房 2006年
監修
小石新八 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授
作成日・改訂
2008年12月18日作成