画溶液 がようえき
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画溶液(溶き油)は、油絵を制作する際に用いられる絵具の補助溶液で、絵具に様々な表現や効果をもたらすことができます。
主な役割としては、「絵具のノビをよくする」「透明度を高める」「艶の調整」「乾燥速度の調整」「画面を保護する」など、様々な効果や目的を担った画溶液があります。
油絵の制作工程を大別すると「下書き・描き始め」「描画」「仕上げ」があり、各工程において、それぞれの画溶液には適切な係わりがあります。まず「下書き・描き始め」で用いられる主な画溶液は、揮発性油であるテレピンやペトロールです。揮発性油は、絵具のノビをよくし乾燥を促進させ、使用後に成分のほとんどが蒸発するという特徴があり、薄塗りで大まかな形や色などの構成や配置を吟味する作業に適しています。
次に「描画」の際は、揮発性油と共に乾性油と呼ばれるリンシードオイルやポピーオイルなどの画溶液、またペインティングオイルと呼ばれる調合油を用います。これらは、絵具の練り調子やノビをよくすると共に顔料と支持体の定着を強め、油絵特有の艶を与えます。基本的には揮発性油と混ぜながら使用し、仕上げに近づくにつれ乾性油や調合油の混合比を増やしていきます。その他にも、艶を整える描画ワニスのパンドルや、乾燥を早めるシッカチーフなども必要に応じ描画の際に使用します。
「仕上げ」では、主に画面の保護を目的とした画溶液であるタブローなどのワニスを使用します。これは、完成した作品表面を半年程度乾燥させた後に塗布することで、有害なガスやホコリなどから作品を守ることができます。
上記の工程以外に使用する画溶液としては、筆などを洗う時に用いる「筆洗油(ブラシクリーナー)」や、固着した絵具を剥がす「ストリッパー」、木炭やコンテなどの定着力の弱い描画材を画面に定着させる「フィクサチーフ」などがあります。
画溶液を使用する際は、それぞれ適切な目的や方法、使用のタイミングなどを理解した上で用いることが大切です。
参考文献
・「絵具の辞典」ホルベイン工業技術部/編 中央公論美術出版 1996年
・「絵具の科学」ホルベイン工業技術部/編 中央公論美術出版 1994年
・「画材の博物誌」森田恒之/著 中央公論美術出版 1994年
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」美術出版社 2000年
・「絵画技術全書」クルト・ヴェールテ/著 佐藤一郎/監 美術出版社 1994年
・「絵画 材料と表現」美術手帖増刊号編集部編/編 美術出版社 1981年
・「ホルベイン画溶液解説書」ホルベイン工業株式会社 2001年
監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授
島眞一 通信教育課程油絵学科教授
作成日・改訂
2007年10月12日作成