オリジナル版画 おりじなるはんが
Original Print
分類
オリジナル版画は、作者が版画作品を制作するという明確な意図を持って制作され、その過程において、作者が直接版による表現に関わって完成された版画作品のことです。
オリジナル版画として認められるには、条件があります。この条件は、「作者自身が下絵を描き、版に描刻すること」「作者自身または作者の指示のもとで刷り師が刷り(摺り)を行うこと」「作者が作品を容認すること」「完成した作品にサイン(自筆署名)とエディション(限定番号)を記入すること」という4つです。この4つの条件を全て満たしたものが、「オリジナル版画」の作品として認められ成立します。
版画には、このオリジナル版画とは別にエスタンプと呼ばれる版画があります。このエスタンプは、フランス語で本来「版画」そのものを指し示す言葉でしたが、現在では「複製版画」を指し示す言葉として使用される場合がほとんどです。複製版画は、版画制作を目的としない油彩や水彩、素描などの作品を原画として、彫師が模刻し木版画や銅版画にしたり、写真製版でリトグラフやスクリーンプリントの作品にし、作者または作者の関係者がサインをした版画作品のことを言います。戦後になって、エスタンプやサインやエディションのない複製版画が多く流通するようになったため、1960年のウィーン・第三回国際造形芸術会議において、オリジナル版画と複製版画を区別するために、オリジナル版画の明確な定義が宣言されて現在の条件の基礎となりました。また現在の日本でも、版画作品の販売組合である日本現代版画商協同組合が、前述した内容と同様のオリジナル版画の条件を定義しています。
私たちが版画作品を制作した場合、完成した作品には必ずサインとエディションを記入するようにします(サインドアンドナンバード)。また作品の限定部数と制作データの管理をしておくとよいでしょう。限定部数を管理することで、エディションが重複する心配がなくなり、作品のデータを管理することで、自分の定めた限定部数内であれば再度作品印刷をすることが可能です。この場合は作品の出来上がりが同じ状態であることが条件です。
関連科目
参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年
・「事典プリンツ21」 室伏哲郎/著 プリンツ21 1997年
参考ウェブサイト
・日本現代版画商協同組合
監修
永井研治 通信教育課程油絵学科教授
作成日・改訂
2009年02月23日作成