整面液 せいめんえき
Resensitizing Solution
整面液は、リトグラフにおいて版面の油脂感度を整えるために使用する溶液です。
整面液の処方は、金属板を使った場合と石版石を使った場合とで異なります。
金属版の場合、目立ての研磨時からすでに表面の酸化が始まるので、それを元に戻し感度を整え、版に残る研磨ゴミなどを取り除くために描画前の版に使用します。また、製版後に加筆をする際に、版面の感脂性を製版前の状態に戻す時にも使用します。
整面液は、クロム明礬飽和液100に対して1~3の割合の硝酸を加えて作ります。使用する際は、刷毛で版面全体に整面液を塗布し、5分ほど置いて反応させ、水洗いし乾燥させます。この時、版に液が少しでも残っていると、反応しすぎて版が使用できなくなることもあるので、水洗いは十分にします。また、加筆の際は、版面に製版インクが盛ってある状態でレジーヌ、タルクを塗布したあと、上記の工程を行います。
石版石の場合は、製版後の加筆の際に使用します。整面液は、水100に対して氷酢酸を10~20の割合で混ぜて作ります。使用方法は、製版インクが盛ってある状態でレジーヌ、タルクを塗布した版面を水を含んだスポンジで拭き、湿った状態にしてから、加筆部分に液を筆や刷毛で塗布します。3~5分ほど置いて反応させ、水洗いし乾燥させたのち加筆します。
関連科目
参考文献
・「版画」武蔵野美術大学版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画の技法と表現 改訂版」町田市立国際版画美術館 2003年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年
参考ウェブサイト
・「2002-2006年 造形ファイル」 武蔵野美術大学
監修
永井研治 通信教育課程油絵学科教授
作成日・改訂
2007年09月10日作成