はさみ はさみ

Scissors

はさみは、主に紙・布・軟質ビニル・皮革などの素材を、上下の刃で挟んで断ち切る(剪断(せんだん))道具です。カッターなどの刃物のように刃を押し付けて切断していく道具とは違い、布などの薄くて柔らかな素材から、ある程度の硬さや厚さがあるものまで切ることができ、取り扱いも比較的安全です。

はさみを安全に使うには、身体の正面中央の見下ろした位置で、切り進める方向にはさみを動かすのではなく、対象(紙など)を切りやすい方向に動かして切りましょう。複雑な形態を切るときは、一筆書きのように一度に切るよりも、複数回に分けて切ると良いでしょう。

はさみの種類は、切る素材や目的により様々な形状や材質のものがあります。もっとも多く利用されている事務用はさみは、紙を切ることを主としているので取り回しのしやすいサイズで、錆にも強いステンレスなどの鋼材を用いたものが一般的です。最近では軽量で長時間使用しても疲れにくい形状の持ち手のものや、糊などが付着しても簡単に拭き取れるフッ素加工のものなどがあります。また、学童用の工作用のはさみは、安全性を考え刃先がまるく加工されています。布を切るための裁ちばさみは、一般的なはさみより刃が鋭く切れ味がよくなっていて、広い面積を裁断するためサイズも大きくなっています。ちなみに布用の裁ちばさみで紙を切ると、切れ味が落ちるので注意しましょう。その他に、ブリキなどの薄い金属板を切るため刃先の短い独特の形状をした金切りばさみ、金属板やゴム板、プラスチックなどの素材から紙まで何でも切ることができる炭素工具鋼製の万能ばさみ、裁縫に用いられる手のひらサイズの和ばさみ、さらに左利き用のはさみ、切断面が波形になるはさみ、複数の刃で細かく切り刻むことができるシュレッダーばさみなどもあります。

取り扱いの注意として、はさみを人に手渡す場合は、安全のため柄を相手に向けて渡すようにしましょう。また、保管時は刃にカバーを付けるなどすると良いでしょう。
一般的なはさみは事務用品店や文房具店で購入できます。また、万能ばさみなど特殊なはさみはDIYショップなどで購入できます。

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参考文献
・「図画工作・美術科 重要用語300の基礎知識」若元 澄男/編著 明治図書 2000年
・「究極の文房具カタログ」高畑正幸/著 ロコモーションパブリッシング 2006年
・「図画工作・美術用法事典」相田盛二/著 日本文教出版株式会社 1996年
・「道具大全」美術出版社編集部/編 美術出版社 1997年
・「野本憲一モデリング研究所」野本憲一/著 ホビージャパン 2003年
・「世界の一流道具大図鑑」東京書籍出版編集部/編 東京書籍 2001年

監修
田中克明 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2007年10月12日作成