製図用インク せいずよういんく
Drawing Ink
製図用インクは、色材として顔料を使用し、煤煙に膠(にかわ)などの固着液を混ぜ合わせて作られており、耐水性や耐光性に優れ、定着力が高いのが特長です。主に保存を目的とした図面の制作や、レタリング、漫画やコミックなどの原稿などに使用されています。また「チャイニーズインク」とも呼ばれる、古くから東洋で用いられている墨(墨汁)は、その製法や成分が、製図用インクとよく似たものです。使用方法は、烏口(からすぐち)やガラスペンのペン先に製図用インクを付けて使う方法が一般的ですが、製図ペンに充填して使うものなどもあります。(製図ペンには、専用のインクやカートリッジを使用する必要があります。)
インクは種類によって、含まれている成分や性質、効果などが異なりますから、用途や目的によってインクを使い分けることが大切です。様々な色数のある、水溶性で透明色のカラーインクのセットの中には黒色インクもありますが、これは製図用インクとは別のものです。これらのカラーインクの中には、製図作業で求められる耐久性が充分でない場合もあるので、製図の際は「製図用」と書かれた単品で売っているインク、もしくは製図に使えることを確認できるインクを使用しましょう。
インクを使い終わったら、乾燥や固化を防ぐため、しっかりフタを閉めましょう。また製図ペンを使用する場合、インクが固まってしまうと水に溶けないことがあるので、ペンをしばらく使わない時は、水やぬるま湯でインクを洗い流し、専用のクリーニング液などで、定期的に洗浄する必要があります。ただし長期間放置してしまうと、クリーニング液を使ってもインクを落とすことができなくなるので注意が必要です。製図用インクやクリーニング液は、文房具店や画材店などで購入することができます。
関連科目
参考文献
・「画材大全 新しい画材ガイド」デザインの現場編集部/編 美術出版社 1992年
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」森田恒之/監修 美術出版社 2000年
・「画材の博物誌」森田恒之/著 中央公論美術出版 1986年
・「新装版 絵画材料事典」R・J・ゲッテンス G・L・スタウト/著 森田恒之/訳 美術出版社 1999年
・「オックスフォード西洋美術事典」佐々木英也/監修 講談社 1989年
・「新潮 世界美術辞典」新潮社 1985年
・「日本大百科全書」小学館 1985年
監修
田中克明 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授
作成日・改訂
2008年11月07日作成