膠水 にかわすい
Glue Solution
膠水(にかわすい)は日本画の制作において、主に絵具を画面に定着させるものとして使用する溶液です。
膠水の作り方としては、表現や使用目的により様々な方法がありますが、一般的な三千本膠(さんぜんぼんにかわ)を用いる作り方としては、膠1本:約10gをタオルなどに包み細かく折ったものと水50~100ccを容器(膠鍋)に入れ、直火を避けボウルや鍋を使用し湯煎で溶解します。沸騰してしまうと定着力が弱まるので、かき混ぜながら行います。完全に溶けた後、不純物を取り除くためにガーゼで漉してから使用します。ちなみに、礬水液(どうさえき)の原液は膠水です。
膠水は気温が高いと腐敗やカビが発生し接着力が低下するため、夏季は冷蔵庫で保存して、数日で使い切るようにします。冬季は常温でも固形化しやすいので、時々温ためながら使用します。凍結させるとコラーゲンが破壊され接着力がなくなります。接着力は気温や湿度にも影響されるので、夏季はやや濃く、冬季はやや薄く濃度を調整します。ただし、膠が濃すぎると画面に亀裂が入りやすく、薄すぎると絵具が剥落しやすくなるので注意が必要です。膠は薄いほど絵具の発色は良くなるので、可能な限り薄い膠水でしっかり絵具が定着することが理想的です。
関連科目
参考文献
・「日本画 表現と技法」武蔵野美術大学日本画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002
・「美術手帖4月号 絵を描く材料 日本画」美術出版社 1980年
・「彩 ウエマツ日本画総合カタログ」ウエマツ画材店
監修
重政啓治 通信教育課程油絵学科教授
作成日・改訂
2007年10月12日作成