にかわ

Glue

膠(にかわ)は、古くは古代壁画や原始絵画の時代から使用され、現在でも日本画の制作においては、画面と絵具を接着するものとして重要な素材です。

原料は動物の骨、皮、腸、腱であり、それらを煮出し、コラーゲンという繊維質の高タンパク排出液を濃縮し、固め、乾燥させて造られます。現在は主に牛を原料とする牛膠がほとんどですが、日本ではかつて鹿の膠が多く使用されていたため、鹿膠という名称のみが残っています。その他、魚膠(にべにかわ)兎膠(主にテンペラに使用)等があり、世界各地の民族は各々に入手しやすい動物を原料として利用し製造をしていたといえます。
日本画に使用される膠は、三千本膠(写真奥)、鹿膠(写真手前)、パール膠、板膠等があり、一般的に使用される三千本膠は、一貫目(約3.75kg)の膠液から膠が三千本造られることからそのように呼ばれることとなりました。また、膠の品質は、硬質で透明度の高いものが良質とされています。

膠の使用方法は多様で、一種を使用したり何種か混ぜたりと各々が使用しやすい方法を模索することが可能です。現在では樹脂系の膠も開発されており、強靱な定着が得られますが、一度硬化すると水では戻らないため、画面から絵具を洗い取るなどする場合は不向きです。保管については、古くなった膠は定着が弱まるため、大量購入を避け、風通しの良い冷暗所で短期間だけ保存するようにこころがけましょう。
膠は、日本画の材料を取り扱う画材店の他に、一般的な画材店でも購入できます。

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参考文献
・「日本画 表現と技法」武蔵野美術大学日本画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「美術手帖4月号 絵を描く材料 日本画」美術出版社 1980年
・「彩 ウエマツ日本画総合カタログ」ウエマツ画材店

監修
重政啓治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2007年10月12日作成