礬水液 どうさえき

Sizing Solution

礬水液(どうさえき)は、日本画の支持体として用いられる和紙や絵絹、板などのにじみ止めに使用される膠水(にかわすい)と明礬(みょうばん)の混合液です。また、箔を押した上に礬水液を引くことで絵具の定着を良くし、銀箔、銀泥の酸化による変色を防ぐ時にも使用します。

和紙や絵絹は吸水性があるために膠水で溶いた絵具を塗ると膠水液のみが浸透して絵具は定着しません。礬水液で表面に薄い被膜を作ることにより吸水性を弱め浸透を防ぎ、絵具の定着を良くします。
雲肌麻紙に使用する礬水液は、一般的に水1000cc、三千本膠20g(2本程度)、明礬2.5gの割合で混合し、湯煎することで膠の固体を完全に溶かします。また制作用膠水を薄める方法もあります。35~70度位の膠水に生明礬を少しずつ入れ礬水液を作ります。
礬水液の濃度は、支持体の種類によって変えます。薄い和紙(美濃紙)や絵絹などは2倍程度に礬水液を薄め使用します。杉板は比較的濃い礬水液を引きます。
礬水液に使われる明礬は酸性で、和紙の劣化の原因とされ、その明礬の量は少なければ少ない方が良いとされます。

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参考文献
・「日本画 表現と技法」武蔵野美術大学日本画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年

監修
重政啓治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2007年07月17日作成