版画用ブラシ はんがようぶらし

Woodblock Brush

分類

版画用ブラシ(刷毛)は、木版画の摺りの際に、墨や絵具、糊を版上で混ぜ合わせ、均等にのばすために使用するものです。

ブラシには靴ブラシのような形状をした丸刷毛と柄の付いた手刷毛の2種類があり、使用する面積が広い場合に丸刷毛を、狭い場合に手刷毛を使用します。
ブラシは絵具を版上に広げ、版の凹部にたまった余分な絵具をさらう働きをするため、毛先が細かく柔らかで、かつ腰が強く硬い必要があります。そのため、一般的なブラシには馬のたてがみやしっぽの毛が用いられています。また鹿毛や豚毛を用いたブラシもあります。
新品のブラシや毛先が磨り減ってしまったブラシは、「刷毛おろし」をしてから使用します。「刷毛おろし」とは、まず熱した鉄板の上で刷毛の毛先を焼いて形を整え、焼いた毛先をお湯に浸した後に水気を切り、鮫皮のとげと逆目に擦り付けます。この処理をすることで、毛先が割れ、絵具をよく含むようになり、版上で絵具をのばしやすくなります。

使用した後のブラシは、根元に絵具や糊が残りやすいため、石けんなどを使用し色残りが無くなるまでよく洗います。また洗った後のブラシはカビが付着する可能性があるため、水気をしっかりと切り、形を整え、風通しの良い場所で乾燥し保管しなければなりません。
版画用ブラシは刷毛専門店や版画材料を扱っている画材店で購入することができます。

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関連科目

参考文献
・「版画」武蔵野美術大学出版局
・「文房堂カタログ」文房堂

監修
永井研治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2007年06月14日作成