消しゴム・練り消しゴム けしごむ・ねりけしごむ
Eraser, Kneaded Eraser
消しゴム・練り消しゴムは、鉛筆などの描画材の描線を修正や調整する際に用いる消し具です。
一般的な筆記用としても利用されるプラスチック消しゴムは、弾力のあるブロック形状で、力加減により、よく消すことができます。主原料のポリ塩化ビニールに、可塑剤としてフタル酸エステル類を加えるなどして作られています。練り消しゴムは、自由に形状を変形できる粘土状で、消す力は若干弱いため、描線などを穏やかに消すことができます。原料のブチルゴムやファクチス、炭酸カルシウム、フタル酸エステル類などを混合し作られています。
鉛筆デッサンでの各消しゴムの使用例として、プラスチック消しゴムは、主に描線をきれいにしっかりと消す場合に適しています。また、消しゴムの角やエッジを利用することで、形の輪郭をシャープに残して消したり、色面上に鋭く直線的な白抜き(紙の白さを出す)を作ることが可能です。角が丸くなった場合は、カッターで切り落とすことでエッジを再生できます。
練り消しゴムは、主に微妙な調子や濃淡の調整などに適しています。消しゴムを軽く練ってから、平たくつぶした形状にして色面を押さえたり、棒状に伸ばして色面上を転がすなどして用います。また、つぶした形状の側面や円錐型の先端を使った細部の調整や、白抜きによる線描など描画材的に利用でき、形状を工夫することで多様な表現効果を与えます。練り消しゴムは、木炭デッサンでも使用できますが、食パンよりも木炭紙の表面を傷めやすいので、使用の際は注意しましょう。
消し具は鉛筆の誕生とともに必要になり、当時は小麦パンなどを使っていました。1770年にイギリスの化学者プリーストリーが天然ゴムによる消字性を発見し、2年後に製品として発売し、ヨーロッパ全土へ広まりました。日本では、明治時代に鉛筆の普及とともに消しゴムの需要も増し、当初は輸入品を使用していましたが、1886年より国産の消しゴムも生産され始めました。その後、国内での研究が進み、1959年に世界に先駆け、現在のようなプラスチック消しゴムが販売されました。
取り扱いの注意として、黒鉛などが付着した消しゴムは、描画面を汚す恐れがあるので、きれいな状態で使用しましょう。また、練り消しゴムは、長時間手に持っていると、粘り気が強くなり、汗や油分などを含み、使用時にシミなどの原因になるので注意しましょう。
消しゴム各種は、画材店や文具店で購入できます。