接着剤 せっちゃくざい

Adhesives

モノとモノをくっつける方法は、大きく分けて2つあるといえます。ひとつは、ヒモで縛る、釘を打つ、縫う、あるいはマジックテープやリベットで留める、といった物理的な方法です。もうひとつは、接着剤を使って化学的にくっつける方法です。漆(うるし)や膠(にかわ)のような天然素材の接着剤は古代から使われていました。また牛乳の凝固物であるカゼイン、穀物に含まれるでんぷん、泥や石膏も接着剤として長い間使用されてきました。近年は化学の発展や新成分の開発などにより、多用途・多機能の接着剤が増えてきています。

接着剤の使用に際しては、その特長や適性を確認してから使用しましょう。例えば酢酸ビニル系の木工用ボンドは、接着剤に含まれる水分が木材に吸収され、接着成分が固化し、接着力がでます。したがって、水分を吸収しない金属などには使用できません。シアノアクリレート系の瞬間接着剤は、金属・合成ゴム・硬質プラスチックなどに用いられますが、衝撃に弱い性質があります。また、2つの液を混ぜ合わせ化学反応により固まるエポキシ系接着剤は、ガラスやコンクリートなども含め広く使用できますが、軟質ビニールやゴムには使用できません。この他、熱を加えて接着成分を溶かし、冷えて固化することで接着性がでる熱溶融型などもあります。接着剤を選択する際は、接着する素材や、その接着物を使用する状況や場所(例えば物理的な力のかかり方や、屋内・屋外での使用環境)などを考えておきましょう。

各接着剤によって使用法や注意事項は異なりますが、おおむね共通するいくつかのポイントがあります。まず、接着剤を使用する前に、接着面の汚れをあらかじめ取り除いておく必要があります。油分や水分などがあると、接着力を充分に発揮することができません。また、本番の接着の前に、余った部材などで一度接着を試しておくとよいでしょう。なお、手や用具に接着剤がついたまま、家具などに触れると、家具の塗料を溶かしてしまう場合もありますから注意が必要です。この他にも、接着剤を使用する時は接着剤ごとに、製品に記載されている使用法や注意事項を守って使いましょう。接着剤は、ホームセンターや画材店などで、各種のものが購入できます。

テキストを全て表示

関連科目

参考文献
・「接着の科学」竹本喜一 三刀基郷/著 講談社 1997年
・「立体大全 素材+道具+テクニック」デザインの現場編集部/編 美術出版社 1996年
・「NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所」野本憲一/著 ホビージャパン 2003年
・「DIY素材百科」学習研究社 2004年

監修
田中克明 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2009年02月20日作成

文字サイズを拡大

  • モノをくっつける方法の一例ヒモでしばるヒモでしばる
  • ステープラーで留めるステープラーで留める
  • 釘を打つ釘を打つ
  • 糸で縫う糸で縫う

このページの上部へ