天・地 てん・ち
Ten (Head) and Chi (Foot)
天(てん)は書籍や雑誌などの冊子で、上方の裁断面をいいます。地(ち)は同様に下方の裁断面をいいます。それぞれ、広い意味での小口(こぐち)の一つです。 また、書籍や雑誌などの紙面において、内容が印刷される範囲[=版面]周囲の余白(マージン)のうち、上方の余白を天、下方の余白を地と呼ぶ場合があります。このうち下方の余白は罫下(けした)ともいいます。
天地(てんち)という場合には、冊子や紙面、版面、図版など各種の対象物における上下方向の寸法を指します。
書籍や雑誌などの冊子では一般に、1枚の大きな用紙の両面に複数のページ(16ページ分や32ページ分など)の内容を並べて印刷し、それを折りたたむことで1ページの大きさにし、綴(と)じられた側を除く三方(さんぽう)を裁断し外形を整えます。折りたたむことによって三方のうち綴じられた側と反対の側は半分が袋状になり、残る二方のうち一方は完全に袋状の部分、反対のもう一方は完全に開いた状態となります。たとえば標準的な折り方では、本文が縦組みの場合は下部が袋状(上部は開いた状態)に、横組みの場合は上部が袋状(下部は開いた状態)になります。したがって、原理的には裁断は最低2箇所で済むので、その場合はじめから開いた状態だった側は未裁断のまま製本されることになります。この方式は、工程を簡略化することで価格を低く抑えようとする文庫本や新書本などで以前は見られましたが、未裁断の面が流通や所蔵の段階で汚れやすいため、現在ではほとんど見られなくなりました。
関連科目
参考文献
・「出版編輯事典 上巻」清光館書房 1934年
・「印刷事典」日本印刷学会/編 大蔵省印刷局 1958年
・「出版事典」出版ニュース社 1971年
・「出版編集技術 上・下巻」日本エディタースクール出版部 1978年-80年
・「増補・編集印刷デザイン用語辞典」関善造/著 誠文堂新光社 1980年
・「日本書誌学用語辞典」川瀬一馬/著 雄松堂書店 1982年
・「標準 編集必携」日本エディタースクール出版部 1987年
・「出版社の日常用語集 改訂版」日本書籍出版協会 1988年
・「編集ハンドブック 第6版」デザイン編集室/編 ダヴィッド社 1997年
・”The Designer’s Lexicon”Chronicle Books‚ SanFrancisco‚2000
“Dictionary of Publishing and Printing” third edition‚ A&C Black‚Lond
監修
金子伸二 通信教育課程芸術文化学科准教授
作成日・改訂
2007年07月17日作成