コンパス こんぱす
Compass
コンパスは、円や円弧を描くときに用いる製図用具です。二股に分かれた脚の片方の先端は針になっており、この針を軽く紙にあてて固定します。もう片方の先端には筆記具がついており、固定した方の脚を軸にして筆記具を回転させることで、円や円弧を描きます。コンパスに使用される筆記具の種類は、烏口や鉛筆、鉛筆の芯、シャーペンなどがあり、付ける筆記具を自分で替えることのできる、差し替え式のものがあります。
コンパスは、江戸時代には「円規」と表記されたり、「ぶんまわし」と呼ばれたりしていました。現在コンパスは、大きな円を描けるものから小さな円を描くためのものまで各種そろっているので、描きたい円に応じて選ぶことができます。コンパスを使う時は、脚が途中で折れるものは、脚を紙面に対して垂直に立てます。きれいに描くために、途中で止まったり戻ったりせず、一気に描ききりましょう。コンパス本体に中継軸(継足棒とも呼ばれます)を取り付ければ、直径25cm程度の円を描くこともできます。また、同じ中心から複数の同心円を描く時などは、だんだん紙面の針穴が大きくなってしまうことがあるので、こういう場合は中心器を使うとよいでしょう。中心器は、紙に針穴が開いてしまうことの防止や、中心を正確に保つための補助となります。コンパスの他に円を描ける道具としては、円定規があります。
コンパスと形状がよく似たものに、デバイダーがあります。デバイダーには両方の脚に針が付いており、主に寸法を測ったり、寸法を移し変えたり、直線を等分するために使用されます。例えば、定規では測りづらい部分に、デバイダーの両脚を開いて両側の針で測ろうとする寸法をとって、2本の針の距離を計測します。
コンパスは、単品で購入することもできますが、大きさの違うコンパスや差し替え式の筆記具、中心器や中継軸がセットになったものもあります。付属する部品を別途購入する際は、自分のコンパスに取り付けることが可能かどうか、メーカーや型をよく確認しておきましょう。コンパスは、文具店や画材店で入手することができます。
参考文献
・「だれにでもわかる製図用具の正しい使い方」工藤竹美/著 工業調査会 1980年
・「図画工作・美術用具用法事典」相田盛二/著 日本文教出版株式会社 1996年
・「ものづくり 道具のつかい方事典」峰尾幸仁/監修 岩崎書店 2002年
・「大人の初等数学」片野善一郎/著 裳華房 2006年
・「絵とき 機械図面のよみ方・かき方」小町弘/著 オーム社 1991年
監修
小石新八 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授
作成日・改訂
2009年01月29日作成