キャンバスの張り方 きゃんぱすのはりかた
How to Stretch a Canvas
分類
主に油彩画の支持体として用いられる、張りキャンバスの構造は、フレーム状に組んだ木枠にキャンバス(画布)を張り留めたもので、作者の表現に合わせて様々な形態やサイズのものを容易に自分で張ることができます。
キャンバスを張る際に必要な材料・道具として、木枠・キャンバス(必ず木枠より大きなサイズのものを用意。一辺の長さ=木枠の長さ+(木枠の厚さ+約2~3センチ)×2)・キャンバス張り器(キャンバスを引っ張るペンチ状の道具)・タックス(釘)・木槌・金槌・はさみ又はカッター・三角定規・釘抜き(マイナスドライバーでも可)などを用意します。張る時の環境は、適度に湿度のある場所や雨の日などが最適です。これは、布地の繊維が湿度により伸縮するためで、乾燥した状態で張ったものは、湿度が上がった時にゆるむ恐れがあります。
キャンバスを張る工程としては、まず木枠を組み立てます。短辺と長辺の木枠の向きに注意し、枠の四隅のつなぎ目同士を組み合わせます。その際、少しずつ手で押してはめ込んだ後、木槌で叩き固定します。枠の内側に桟(さん)があるものは、枠部分のはめ込みと同時に組み入れます。組んだ後、各辺同士が直角になっているか三角定規をあてて確認します。次に、キャンバスを裏返し、その上から木枠をキャンバスの各辺から均等な距離になる位置に合わせます。この時に木枠の断面が内側にやや傾斜し、丸みがある面(表側)をキャンバス側に向けます。キャンバスの張り留め方法は、キャンバスを木枠の裏側からキャンバス張り器で挟みながら、テコの原理を利用して引っ張り(どの箇所も均一な力で)、その状態でタックスを金槌で打ち込みます。留め進める順序は、木枠の各辺の中央から端に向って、線対称の位置を交互に留めていくのが一般的ですが、他にも、各辺の中央を留めた後、四隅を留めて、次に中央と隅の間を留め進める方法もあります。タックスの間隔は木枠サイズにより異なり、キャンバスにズレや歪みが起きない適切な幅で、等間隔に留めます。四隅の余ったキャンバス部分は折りたたみ、タックスで留めて完成です。
表面にシワが出た場合は、その部分のタックスを抜き、張り器で引っ張ってタックスを打ち直します。また、使用済みの張りキャンバスは、キャンバスを剥がし張り替えることで、再び利用できます。簡易的な張り留めの場合、タックスでなくガンタッカーを代用することも可能です。