カキロン（加筆ペン）・ケシロン（消去ペン）は、金属版を使ったリトグラフにおいて、製版後の版を加筆・消去などの修正をするペン型の道具です。ともに薬品により作用するので、従来の修正後の版面処理は不要で、金属板での緊急処置として使用されます。（カキロン・ケシロンは、複数のメーカーより同様のものが販売されています）

カキロンは、ラッカーを含んだ薬品で、製版後の加筆に使用します。すでに不感脂層になっている版に、薬品により強力な樹脂膜を作りインクがつくようにするため、従来の加筆作業にともなう整面・製版作業は不要です。使用方法は、加筆部分のアラビアゴムなどを、水で完全に拭き取り、版面を乾かしてから加筆を行います。この時、2度塗りや、加筆前後の洗浄や乾燥が不十分だと耐刷力が弱くなるので注意します。ペン型のためベタや穴埋めの描画には向いていますが、細かい描写やクレヨンの調子が欲しい場合には従来の加筆作業をします。

ケシロンは薬品を含んだペン型の研磨剤で、描画の消去時に使用します。浮石棒のように版面を削り取らないので、従来の消去作業にともなうエッチ液による不感脂化作業は不要です。使用は、消却部分を軽く擦り消していきます。その際に出る汚れた液は、水を含んだスポンジで拭き取ります。
どちらの使用も換気の良いところで行い、手や皮膚に付着した場合は直ちに水洗いをします。
版画道具を扱う画材店や印刷資材専門店で購入できます。