インク台 いんくだい
Ink Slab
インク台は、版画制作時にインクを練って調合したり、ローラーを転がしインクを巻きつけたりする際に用いる作業台です。刷りにおけるパレットのような役目をします。
一般的には、天然または人造の大理石や1cm程の厚みのある面取りをしたガラス板を用います。これらの素材は硬く重みがあり、使用の際は土台がぐらついて不安定になることはなく、また温度変化が少ないためにインクの状態も一定に保つことができます。
インク台の取り扱いの注意事項としては、常に汚れのない状態を保つことです。使用する前は、プリントクリーナーなどの溶剤を用い、汚れを拭きあげてから使用するようにします。刷り終わりの際も、ヘラでしっかりインクを取り、残ったインクは溶剤とウエスで拭きあげます。この作業を怠ると、前に使用していたインクの影響が出てしまう場合があります。新品の大理石のインク台を使用する場合は、ウエスを使用して亜麻仁油(00号ワニス)を塗布し、一日置いた後、プリントクリーナーで洗浄し使用します。これは先に石に油を染み込ませておくことで、インクの色移りを防ぐ効果があるためです。長期間使用していないインク台も、同様の処理をした後に使用することが好ましいでしょう。また、石の表面がヘラなどで傷付いた場合は、砥石やサンドペーパーをかけて平らにした後、上記と同様の処理をすることで再生できます。
入手先としては、一般的な画材店やガラス店などで購入できます。
参考文献
・「版画」武蔵野美術大学出版局
・「リトグラフの技術」真理舍
参考ウェブサイト
・「2002-2006年 造形ファイル」 武蔵野美術大学
監修
永井研治 通信教育課程油絵学科教授
作成日・改訂
2007年06月14日作成