アルシュ水彩紙 アルシュ水彩紙
Arches Watercolor Paper
アルシュ水彩紙は、フランスのアルジョウィギンス社の製品で、コットンパルプ(100%)を原料とした、比較的手漉きに近い製法(半機械漉き)で作られている水彩紙です。透明水彩やガッシュ、アクリル、インクなどの水性系の描画材に適していて、世界的にも広く使用されています。ちなみに、アルシュ紙は、1492年にフランスのロレーヌ地方のアルシュ工場で生まれ、500年以上も生産されている歴史のある紙です。
紙の色はナチュラルホワイトで、紙の肌理(表面の凹凸)は、荒目(トルション:torchon)、細目(ファン:fin)、極細目(サチネ:satine)の3種類があり、厚さは坪量(1平方メートルあたりの紙一枚の重量)で185g、300g、356g、640g、850gなど5種類あります。販売している形状はシート状のものが一般的ですが、ロール状タイプ(113×915cm)、1辺が糊付けされたパッドタイプ、4辺が糊付けされていて描画した後にペーパーナイフを使用して剥がすブロックタイプなど様々なものがあります。また、紙には保存性を高めるための防カビ処理や、紙の芯まで膠溶液(ゼラチン)を浸透させたサイジング(にじみ止め)処理が施され、丈夫で絵具ののりや発色が良くなるように仕立てられています。
紙の下辺には「ARCHES」の文字(正しく読み取れる面が表側)と共に「∞」のウォーターマーク(透かし)またはエンボス(型押し)があり、これは「無限(インフィニティ)」を意味し、保存性の高さを象徴するものとして付けられています。
アルシュ水彩紙は画材店などで購入することができます。
※描画例(写真)は、用紙の特性や表現の可能性を示すためのテストサンプルであり、特定の描画材の使用を薦めているものではありません。(一般的には適していないとされる描画材もあえて使用しています。)
関連科目
参考文献
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」美術出版社 2000年
・「水彩画 用具と描き方」武田信吾/著 美術出版社 1995年
参考ウェブサイト
・「2002-2006年 造形ファイル」 武蔵野美術大学
・アルジョウィギンス社
・株式会社ミューズ
・マルマン株式会社
監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授
作成日・改訂
2008年04月25日作成