金属活字 きんぞくかつじ

Metal Type

金属活字とは、通常、鉛を主体とした合金で鋳造され、文字の大きさを頂面とした、高さ24mmほどの角柱状の金属片で、組み合わせて活版印刷の版面とします。
活字の先端には文字の形が凸型に彫り出してあり、それらの活字を並べ、インクをのせて紙を押し付けることで文字を印字します。このように、活字を使って文章などの文字組みを印字する活版印刷と呼ぶ手法は、1445年にグーテンベルグが考案実用化したものです。一度活字を作ってしまえばそれを何度も再利用して印刷物を作ることができるため、その後の印刷技術の主流となりました。しかし後の時代には、活字の保管場所や、活字を拾い出して組んでいく労力の問題などから、活版印刷はもっと効率的で自由度の高い写真植字という技術にその主流を譲ることになりました。活版印刷では、文字それぞれの大きさにしたがって、すべての文字の活字を作らねばならず、扱う活字の数はぼう大になります。西洋ではアルファベットの形と数種類の約物(カギ括弧やピリオドなど)を作れば、ほとんどの文章を組むことができますが、日本語の場合は仮名だけでなく、非常に多くの漢字を必要とし、その活字を制作し管理することは非常に労力のいることだったのです。現在ではコンピュータを使って文字を組み、印刷物を作るのが主流になり、活字を使った印刷物はほとんど作られていません。

初期の金属活字では、西洋のアルファベットの場合、文字の形が漢文に比べると単純なので、直接、鉄などの固い金属に凸型の文字を彫刻して父型を作り、それを銅などの柔らかい金属に打ち付け、パンチ母型と呼ばれる凹型の母型をつくり、そこに合金を流し込んで活字を作る方法が一般的でした。最初は職人が、直に文字の形を彫っていましたが、19世紀以降は自動的に彫刻できる機械が使われるようになりました。一方日本では明治2年に長崎の本木昌造が、蝋型電胎法(ろうがたでんたいほう)という手法をアメリカ人のウィリアム・ガンブルから教授され、これをもとに日本語の活字を作ることに成功しました。この方法は最初の原形となる種字をツゲ材に彫り、電解の仕組みを使って銅を付着させて母型を作る手法で、画数の多い漢字の活字を作るのに適していました。

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参考文献
・「本木昌造と日本の近代活字」板倉雅宣 高橋律夫 若原薫 小塚昌彦 府川充男 鈴木広光/著 大阪府印刷工業組合 2006年
・「印刷のおはなし 改訂版」大日本印刷株式会社/編 日本規格協会 2001年
・「図解印刷技術用語辞典」大日本印刷株式会社/編 日刊工業新聞社 1987年

監修
横溝健志 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2008年03月21日作成

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(金属活字を収めるケース)すだれケース (金属活字を収めるケース)
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