芯抜き しんぬき

Corer

木炭の原料には、木の幹(幹材)を子割にしたものと枝部分(枝材)を利用したものがあり、それらを炭化させて作られています。枝材には、中心部を通る道管があり、焼成によって外側部分と性質が異なる炭となります。その部分を「芯」と呼び、描画に使用する外側部分と色味が異なり、定着も悪いため、作品に影響を与える場合があります。芯抜きを用いて、あらかじめ丁寧に芯を取り除くことで、支障なく描画することができます。

芯抜きの主な種類としては、やや堅めの真鍮製針金で、先端に螺旋状の加工がされたものと、細い針金同士をねじり合わせ一本の針金とし、先端に極小ブラシが付いたものなどがあり、共に20cm程度の長さです。一般的には、真鍮製のものが太い木炭用で、ブラシ付きのものが細い木炭や仕上げ用として利用されます。

木炭の芯の抜き方としては、まず、真鍮製の芯抜きを使います。鋭利な先端を芯部分に差し、ひねることなくゆっくりと、突き抜けるまで押し入れます。ただし、反りの強い木炭や硬い芯に、無理に押し込むと、木炭の折れや抜けなくなる場合がありますので、力の加減には注意しましょう。次にブラシ付きの芯抜きを使います。針金部分の方から貫通した穴に通し、ブラシ部分をくぐらせることで、さらに余分な芯を取除きます。また仕上げとして穴に強めの息を吹きかけたり、穴を下に向けて床面などの硬い面で、木炭を軽くノックすると、よりしっかりと芯を取り除けます。細い木炭の場合は、ブラシ付の芯抜きの針金部分のみを使って、ひねりながら貫通させ、何度か前後させながら穴を拡げて芯を取り除きます。ブラシ部分が穴を通りそうであれば仕上げにくぐらせます。(無理に通すと抜けなくなる場合があります)

取り扱いの注意として、芯の有無や木炭の径の大きさを確認してから芯の抜きを使用しましょう。栗・樺(かば)などは幹材で芯が無い木炭なので、そのまま使用します。芯を抜いている途中で芯抜きが前後に動かなくなった場合は、木炭を折り分けて芯抜きを取り出します。芯抜きの保管の際は、変形しないようにケースなどに入れましょう。
芯抜きは、一般的な画材店などで購入できます。

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参考文献
・「岩波西洋美術用語辞典」岩波書店 2005年
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」美術出版社 2000年
・「画材の博物誌」森田恒之/著 中央公論美術出版 1994年
・「画材と素材の引き出し博物館」目黒美術館/編 中央公論美術出版 1995年
・「絵画技術全書」クルト・ヴェールテ/著 佐藤一郎/監 美術出版社 1994年

参考ウェブサイト
株式会社 伊研

監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2009年03月13日作成