礬水引き どうさびき

Dosabiki (Sizing)

礬水引き(どうさびき)は、日本画の支持体として用いられる和紙や絵絹などのにじみ止めを行う技法です。

「生(なま)」の和紙や様々な支持体となるものに礬水引きをします。礬水引きは天気の良い日に行なうのが良いとされ、雨の日や湿度の高い時は礬水がききにくくなります。温度の高い礬水液を引くと和紙の表面が光るので、人肌の温度ぐらいが良いとされます。ききにくい場合は温度の高い礬水液を引きます。

礬水引きの手順は、毛氈(もうせん)や毛布などの上に和紙を広げます。和紙が内巻状態の場合は無理に広げず礬水引きを行なうことで自然に内巻きが広がります。和紙の表面上部端から礬水液を含ませた巾の広い刷毛で一定方向に引きます。一回目の礬水引きは和紙への浸透が多いので刷毛をゆっくりと動かして和紙にたっぷりと含ませます。和紙への含みを一定に刷毛跡は、かすれないようにします。礬水液の含みが少なくなったら再度、礬水液を刷毛に含ませます。刷毛跡の重なる部分は多くなく、また隙間が出来ないようにします。表面の礬水液が完全に乾いたら二回目は裏面に同様に礬水を引きます。二回目からは、さほど浸透しないので礬水液は少なめで良いです。(表裏表と順に引くのが最も良いとされます。)
薄美濃紙、絵絹に引く場合は二倍程度に薄めた礬水液を使用し、回数は表裏一回ずつ引きます。

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参考文献
・「日本画 表現と技法」武蔵野美術大学日本画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「美術手帖4月号 絵を描く材料 日本画」美術出版社 1980年
・「彩 ウエマツ日本画総合カタログ」ウエマツ画材店

監修
重政啓治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2007年10月12日作成