木製パネル もくせいぱねる

Wood Panel

木製パネルは、ベニヤ合板の裏面に角材を組んで補強した支持体で、油彩画をはじめとする絵画全般で用いられます。紙を支持体とする鉛筆デッサンや水彩画、日本画制作の際には、水張りをしてパネルへ張り込むことで、描画面が平滑でしっかりと固定され、水分の多い描画も、紙面の波打ちやたるみが抑えられて描きやすくなります。さらに、写真などの展示の際にも、パネルに張り込むことで見栄え良く仕立てることができます。

木製パネルの基本構造としては、表面に厚さ約2.4~4.0mm程度の木製合板が用いられ、角材を含めた厚さは約18~34mm程度になります。合板の種類は、一般的にラワン材が多く使用されていますが、木肌がより平滑な木目を持つシナ材などを使用しているものもあります。裏面には、松や杉の角材がパネルの縁に沿ってと複数本の桟(さん)を格子状に入れて組むことで、パネルのねじれや、反りを防いでいます。また、パネルサイズが大きくなるにつれ、角材の太さや、桟の本数も増します。ちなみに、変形をより強力に防ぐために合板を両面に貼付けたパネルもあります。サイズは絵画標準サイズのF・P・M型・S型(既製品外)やA・B列用紙サイズ、印画紙サイズなど、各規格における様々な大きさのものがあります。

もともと「パネル」とは、西洋美術の宗教画などの建造物の壁面に描かれた作品形態に対し、移動や持ち運びが可能な板などに描かれた形態を指しました。その後、同様に移動や運搬が容易なキャンバスなどの布製の支持体も登場しますが、これとは区別されています。

取り扱いの注意として、長期間の作品保存などを考慮すると、合板は油分による木材の酸化、時間経過や湿度によるアクの発生などで作品に影響をあたえる恐れがあります。油彩画などの支持体として使用する場合は、あらかじめ膠(にかわ)や水性地塗料(膠水+白亜)、ジェッソなどをしっかり塗布して下地処理してから使用しましょう。水性系の描画材(水彩画・日本画など)を用いて紙に描く場合は、木製パネルの表面に紙(新鳥の子紙等)を糊付けする下張りなどを施すと良いでしょう。また、シナ材の合板パネルを用いることで、ラワン材のものよりも影響を抑えることができます。

木製パネルは一般的な画材店で購入できます。

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参考文献
・「日本画 表現と技法」 武蔵野美術大学日本画学科研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「絵画材料事典」 美術出版社 1999年

監修
重政啓治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2008年10月03日作成