ワトソン紙 わとそんし
Watson Paper
ワトソン紙は、日本で製造されている高級水彩紙で、やや強めのサイジング(にじみ止め)が施され、適度な紙の肌理(表面の凹凸)の粗さと厚さを持ち、水に強いのが特徴です。また画用紙などと比べ強度があり、消しゴムを使ったときの毛羽立ちが起こりにくいため、水彩画だけではなくパステル画にも使用できます。高品質で入手もしやすいため、ポピュラーな水彩紙の一つです。
ワトソン紙の主原料は木綿パルプで、これに木材パルプを配合して作られている中性紙です。ワトソン紙の持つクリーム色に近い地色は、素材である木材パルプの色です。また、よりいっそう絵具の発色を活かすため、ホワイトワトソンという色味を持たないワトソン紙もあります。これは脱色剤を使わず染料などで自然な白色にしたものです。
パステル画向けには、グレーワトソンという、寒色系の地色をしたワトソン紙もあります。染料などで強めの色味を持たせてありますが、性質は変わらないので水彩紙としても使用できます。また、厚さやサイズも他の水彩紙より種類が豊富で、厚口、特厚口、超特厚口があり、サイズは四六判(788mm×1091mm)や10メートルのロール状のもの、水張り用のF40号~F60号サイズやボード状のもの、さらにスケッチブックとして冊子状に綴(と)じられたものなどがあります。ちなみに紙の表裏は、ほとんど差がありませんが、表側は紙の肌理が若干粗く、裏側はやや平滑になっています。
水彩絵具などを使用する時に、水分をはじきすぎてしまう場合があります。それはサイジングによるもので、水を含ませた刷毛で紙の表面を何度か撫(な)で、布で水分を取り除き、完全に乾かしてから使用すると良いでしょう。
ワトソン紙は画材店などで購入できます。
※描画例(写真)は、用紙の特性や表現の可能性を示すためのテストサンプルであり、特定の描画材の使用を薦めているものではありません。(一般的には適していないとされる描画材もあえて使用しています。)
関連科目
参考文献
・「絵画(素材・技法)」武蔵野美術大学油絵学科研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「画材の博物誌」森田恒之/著 中央公論美術出版 1994年
・「水彩画 用具と描き方」武田信吾/著 美術出版社 1995年
・「デザイン 材料と表現」美術手帖増刊号編集部編/編 美術出版社 1982年
参考ウェブサイト
・「2002-2006年 造形ファイル」 武蔵野美術大学
・株式会社ミューズ
協力
・株式会社ミューズ
監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授
作成日・改訂
2008年03月21日作成