ルーレットは、銅版画の制作において、先端に付いた金属製の歯車を版面に押し付けて転がし、規則的な点や線の集合を作るための道具です。

ルーレットの歯車の形状は円筒形（太鼓型）をしています。版面に刻まれる模様は、点が刻印される網目状のものと線が刻印される線目状のものがあり、歯車の表面に金工やすりのように点や線の突起が付けられています。網目状のものは細目、中目、荒目などの点密度が違う種類があり、線目状のものも線の幅、線数などが違う種類のものがあります。またルーレットの変形型で歯車の部分が球や紡錘形（卵型）になっているムーレットという道具もあります。このムーレットは歯車が球形のために、ルーレットに比べて不規則な点の集合を作ることができます。

ルーレットの使用法は、版面に歯車部分を直接押し当てて、歯車を転がすようにして描画します。この時片方の手でルーレットの柄を持ち、もう一方の手で軸の部分を上から押さえ、揺らすように前方へ動かして描画します。また、木炭デッサンをするように片手で持って描画をすることも可能です。このようにして描画した部分は梨地となって印刷されて、柔らかい調子が表現できます。
ルーレットは、描画以外にもメゾチントの製版や修正にも使用されることがあります。その他にもエッチングやソフトグランドエッチングなどの用途に使用することができます。
グランドの上から使用した場合には、プリントクリーナーなどの溶剤で歯車に付いたグランドをきれいに拭き取ってから保管するようにしましょう。また、歯車の軸に極少量の機械油を差して整備することを心がけましょう。
ルーレットは、版画材料を取り扱っている画材店などで購入することができます。