ペンインク ぺんいんく

Pen Ink

ペンインクは、一般的な筆記のために使用するインクです。現在よく知られているものとして、昔から使用されているブルーブラックインクと、その欠点を補うように改良された、顔料系のカーボンを使用したブラックインクや、水溶性染料を使用した色インクなどがあります。

ブルーブラックインクは、含まれている化学物質の酸化などにより、暗い青色に発色するのが名前の由来で、10世紀から12世紀のヨーロッパで使用が始まり、19世紀頃までに製法が確立したといわれているものです。ブルーブラックインクの主な特長としては、その耐久性を挙げることができます。紙にしっかり固着するという点で優れていたため、一般筆記用のインクとして現在まで多く使用されてきました。しかし、時々、鉄製のペン先を腐食させてしまったり、長い年月のうちにインクの固着した個所の紙の酸化により劣化したり、といったことも見られました。一方、ブラックインクは耐光性や耐水性に優れているため、長期の記録保存などに向いているといえます。この他、水溶性染料を用いた色インクは、耐光性や耐水性が劣る場合があるものの、多くのカラーバリエーションを得ることができます。

ペンインクは一般的な瓶入りと、カートリッジ式の万年筆用のカートリッジ入りなどがあります。瓶入りインクは、乾燥や固化を防ぐために使用後はしっかりフタを閉めましょう。また吸引式の万年筆は、長期間使用しない場合、内部のインクを抜き取り、水かぬるま湯に浸してインクを洗い流した後、水分をふき取って保管しましょう。ペンインクは文房具店や事務用品店などで購入できます。

テキストを全て表示

参考文献
・「画材大全 新しい画材ガイド」デザインの現場編集部/編 美術出版社 1992年
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」森田恒之/監修 美術出版社 2000年
・「画材の博物誌」森田恒之/著 中央公論美術出版 1986年
・「新装版 絵画材料事典」R・J・ゲッテンス G・L・スタウト/著 森田恒之/訳 美術出版社 1999年
・「デザイン 材料と表現」美術手帖増刊号編集部/編 美術出版社 1982年
・「オックスフォード西洋美術事典」佐々木英也/監修 講談社 1989年
・「新潮 世界美術辞典」新潮社 1985年
・「日本大百科全書」小学館 1985年

監修
田中克明 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2008年11月07日作成