バニッシャー ばにっしゃー
Burnisher
バニッシャーは、銅版画の制作において、トーンの調整や版の修正など様々な用途に使用される鋼鉄製の棒状の道具です。
バニッシャーは、先端に行くほど緩やかにカーブを描いて尖り、イカの骨のような形状をしていて、断面は楕円形です。
この道具は、先端付近の丸まった部分を使い、押さえ慣らすように磨く作業で使用します。作業を潤滑にするため、機械油(ミシン油)をつけながら磨きます。用途はアクアチントやメゾチントのトーン(階調)を上げる、スクレーパーで削りとった部位の慣らし、細部の修正、プレートマークの仕上げ研磨などさまざまな場面に使われます。
特にメゾチントにおいては、スクレーパーと共に重要な描画用具として使用され、版面のまくれをスクレーパーで削り取った後にバニッシャーで磨きます。あるいはバニッシャー単体のみでも使用します。まくれの高さを削り、磨くことで多くの階調得ることができます。
スクレーパーは「けずる・こそぐ」バニッシャーは「なめる・みがく」と覚えておくと良いでしょう。
バニッシャーは持ち手に木製の柄が付いたもの、全て金属製で片側にニードルやスクレーパーがついているものなど様々な種類があります。バニッシャーは版面を磨く道具なので、保存する際には錆びてしまわぬよう、機械油を染み込ませたウエスなどを巻いて保存するのが良いでしょう。
バニッシャーは、版画材料を取り扱っている画材店などで購入することが出来ます。
関連科目
参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年
・「銅版画のテクニック」 深澤幸雄/著 ダヴィッド社 1966年
・「銅版画のマチエール」 駒井哲郎/著 美術出版社 1992年
監修
今井庸介 通信教育課程油絵学科非常勤講師
作成日・改訂
2009年02月18日作成