ノコギリ のこぎり

Saw

ノコギリ(木工用)は、金属の板の端に細かく鋭い波形の刃がついた工具で、切断する木材を引っかき削るように切断します。一般的に、日本のノコギリは引く時に切れ、欧米のものは押す時に切れるようになっています。

主に木工用として使われるノコギリには、木目に沿って切断する時に用いる縦びき用と、木目に対し直角に繊維を切断する横びき用があります。縦びき用の刃は目が粗く、横びき用の刃は目が細かくできています。刃は、ノコギリを正面から見た時に、ノコギリの金属板(鋸身・のこみ)の厚みより外側に飛び出るように、刃の突起を左右に交互に傾いて付いています。これを「アサリ」といい、木を切る時に、鋸身との摩擦を軽減して、押し引きの動作を軽くし、おがくずを排出する役割をします。材料を切る時は、刃の厚さやアサリの幅を考慮して、切り方や寸法取りをすることが大切です。

木工用ノコギリの種類は、鋸身の両側に、縦びき刃と横びき刃が付いた両刃ノコギリが一般的です。片側だけに刃が付いている片刃ノコギリは、縦びき用と横びき用のほか、刃を付け替えられるものもあります。また用途別として、細かい作業をする時や、切り口をきれいに仕上げたい時に用いる、胴付きノコギリがあります。刃は細かく、鋸身が薄くて折れやすいので背金を入れて補強しています。この他、畔びきノコギリは、材料板の表面に溝を作る時の、溝両脇のひき込み用として使用されます。引き廻(まわ)しノコギリは、曲線を切り抜いたりする際に使いやすいでしょう。

ノコギリの歴史は非常に古く、紀元前1500年前後の古代エジプトですでに金属製ノコギリが使われていました。日本では5世紀の古墳から出土しているものが最古といわれ、6世紀に中国から木工具が伝来してからノコギリも発達しました。今日の用途別ノコギリのほとんどが、江戸時代にできあがったと言われています。

ノコギリを使った後は、木屑や汚れを拭き取っておきましょう。なお、切れなくなったノコギリは、「目立て」という専門的な方法で研ぐと、再び切れるようになります。ノコギリは、ホームセンターや工具店などで、様々なタイプのものが購入できます。

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参考文献
・「新版 DIY道具事典」ドゥーパ!編集部/編 学習研究社 2005年
・「ものづくり 道具の使い方事典」峰尾幸仁/監修 岩崎書店 2002年
・「図画工作・美術用具用法事典」相田盛二/著 日本文教出版株式会社 1996年
・「図解 大工技術を学ぶ 道具・規矩・工作法」松留慎一郎/編著 市ヶ谷出版社 2006年
・「大工道具の歴史」村松貞次郎/著 岩波書店 1973年

監修
田中克明 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2009年05月06日作成

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  • アサリ(ノコギリの刃を正面から見ると、刃が左右交互に開いて並んでいます)アサリ(ノコギリの刃を正面から見ると、刃が左右交互に開いて並んでいます)

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