トランスファー技法 とらんすふぁーぎほう

Transfer Technique

トランスファー技法(トレース技法)は、版画のモノタイプの技法のひとつで、樹脂やガラス製の板にローラーでインクや油絵具を均一に乗せてその上に紙を置き、紙の上からドローイングなどを行うことで圧力をかけ、板から紙へインクを転写させる表現技法のことです。

トランスファー技法によって作り出される作品は、描画材を使用して紙に直接描画したものとは異なり、独特の調子を持った線が得られるのが特徴です。トランスファー技法を含むモノタイプは、一般的な版画の特徴である同一作品の複数性はなく、同じイメージを2枚以上作ることはできません。このように、出来上がる作品が一点限りであること、他の版画と比べ比較的描画が自由であることなどから、版画技法の中でもより絵画的な表現技法ということができるでしょう。

トランスファー技法の制作の進め方としては、まずイメージサイズに裁断したアクリル樹脂製(カードケースを裁断したものでもよい)やガラス製の板を用意します。次に紙パレットなどに平版用プリントインクか銅版画用のインク、油絵具(新聞紙などに出して油抜きをしたもの)を出し、ヘラなどで良く練っておきます。この時インクが硬ければプレートオイルを、やわらかければ炭酸マグネシウムを少量混ぜて硬さを調節します。できたインクはハンドローラーに巻きつけて、インクを板に均一にのせていきます。インクを均一に乗せることができたら、その上から紙をそっと置き、紙の上から鉛筆や指などで描画します。この技法では、描画の際に紙に圧力が加わった箇所にインクが着くために、描画材や描画をする力、また、使用する紙を変えることでインクの付着量が変わり転写される調子が変わるので、いろいろと試してみると良いでしょう。

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参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年

監修
永井研治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2009年01月30日作成