スティック糊 すてぃっくのり
Glue Stick
スティック糊は、手を汚さずに塗布することができる、棒状で固形に近い状態の糊です。液状の糊では難しい、量の調整が簡単にできます。糊は筒状のプラスチック容器に収まっていて、使用時は口紅の容器のように筒の底部分のダイヤル状のつまみを回すことにより、糊が繰り出される仕組みになっています。糊の成分は、ポリビニルピロリドン(PVP)などの合成樹脂を主成分とする水溶性の接着剤で、このPVPに脂肪酸ナトリウムを添加してほぼ固体状にし、他にグリコール類を加えることで滑らかで塗りやすくしています。
スティック糊は、主に紙を接着する際に用いることが多く、事務的作業や一般的な工作に使用されます。使用時は普通、3~4mmくらいの糊を容器から繰り出し、塗布面に対し垂直に立てて塗っていきます。貼り合わせる時は内側に空気が入ってしまわないように、内側から外側に向かって軽く押さえます。厚い紙と薄い紙を接着するような場合は、厚い紙のほうに糊を塗っておくほうが、紙がしっかりしている分、作業がしやすいでしょう。また、ダンボールのように凹凸を持ったものを貼り合わせる場合は、スティック糊よりも接着力の強いものを使用するほうが良いでしょう。その他、スティック糊は版画で、木口木版の作品を台紙となる厚紙(版画紙)に貼り込む際に、でんぷん糊の替わりとして用いられることもあります。スティック糊は、液状の糊に比べるとシワができにくいといえますが、シワができないというわけではないので、シワが出ては困る用途には使用しません。特に版下など、精度を求められる用途には向いていません。
スティック糊には、紙以外の素材との接着が可能なものや、色が付いたものもあります。塗ったところに色が付き、乾くと消えるため塗った場所が一目でわかり、塗りムラや塗り残しを防ぐことができます。使用後は、糊部分を乾燥から守るため、容器にキャップをして保管します。この時、容器の口まわりにはみ出した糊は、きれいにふき取ってからキャップをしましょう。スティック糊は文房具店や画材店などで購入できます。