ジェルメディウム(アクリル樹脂系) じぇるめでぃうむ(あくりるじゅしけい)

Gel Medium (Acrylic Resin)

ジェルメディウムは、水に溶ける性質を持つアクリル樹脂系のメディウムで、アクリル絵具のツヤ出しや盛り上げ、透明感などの調整、コラージュ時の接着やテクスチャー作りなど、様々な制作場面で利用されます。

ジェルメディウムの主成分は、合成樹脂であるアクリルエマルジョンで、固化前は粘り気のある水溶性の薄い乳濁液ですが、固化後は透明で耐水性の性質に変化し、強い接着力と耐光性を持ちます。アクリル絵具にも主媒材(顔料を固着させる成分)としてこの成分が含まれ、顔料を含まず増粘剤を増量したものがグロス系(ツヤあり)メディウムになり、珪石などのシリカ系粉末を混ぜたものがマット(ツヤ消し)系メディウムになります。ちなみに、酸化チタンや体質顔料を混ぜたものは、地塗りに使うジェッソとなり、大理石の粉などを含ませて固く練ったものが、盛り上げ用のモデリングペーストになります。

ジェルメディウムの使用法としては、アクリル絵具に加えて混ぜることで、粘りはそのままで透明度やツヤを与え(マット系の場合は、ツヤは抑えられます)、ボリュームも増すので、盛り上げやタッチなどの凹凸効果も容易に作ることができます。また、あらかじめメディウムで凹凸を作って固化させた後、その上から絵具で塗ることも可能です。布や木材などに描画する際に、絵具が染み込んで描き難い場合は、メディウムを目止めや下地として塗布しておくことで、染み込みを抑え、筆運びが良くなります。さらに、ジェルメディウムの強い接着力により、紙や布、木材や発泡スチロール、アクリル板など様々な素材を貼り合わせる事ができるので、コラージュなどの制作に最適です(材質により接着力や耐久性は異なります)。その他にも、砂や貝殻の粉末などをメディウムと混ぜて画面に塗ることで、独特のテクスチャー効果を生み、顔料と混ぜることで、自作の絵具も作れます。また、メディウムをモデリングペーストに少量加えることでひび割れ防止になります。

取り扱いの注意として、油性キャンバスや、油絵具で描かれた上からの使用は絶対に避けましょう。ただし、固化したメディウム上に油絵具で描画することは可能です。使用後は、メディウムの容器のフタをしっかりと閉め、メディウムが付着した用具は、固化する前に水でよく洗い流しましょう。
ジェルメディウムは、一般的な画材店で購入できます。

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参考文献
・「画材の博物誌」森田恒之 中央公論美術出版
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」美術出版社 2000年
・「アクリル 新しい画材ガイド」美術手帖増刊号編集部編/編 美術出版社 1997年
・「リキテックス大全」美術出版社 2004年
・「絵画の教科書」谷川渥/監 小澤基弘・渡邊晃一/編 日本文教出版 2001年
・「ホルベインアクリラ」カタログ ホルベイン工業株式会社

監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2009年02月27日作成

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  • アクリル絵具のツヤを出す・ツヤを消す
  • アクリル絵具の盛り上げ・凸凹効果を出す
  • 下値として塗る(布地の場合)メディウムを水で溶くメディウムを水で溶く
  • 接着する塗る塗る
  • 貼る貼る
  • 他の素材と混ぜて塗るメディウムを砂等と混ぜるメディウムを砂等と混ぜる
  • 塗る塗る

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