インクベラ(スパチュール) いんくべら(すぱちゅーる)
Ink Spatulas
インクベラ(スパチュール:仏)は、版画制作時におけるインクの混色や硬さの調節、インク台にインクを伸ばしたり、清掃する時などに用いるヘラです。
ヘラの材質・形状は使用する目的により様々な種類があります。まず材質では、主に樹脂製のものと金属製(ステンレスなど)のものがあります。樹脂製のものは安価で錆びなどの心配がなく手入れが容易ですが、清掃時に使用する溶剤により劣化する場合があります。ステンレスなどの金属性のものは、手入れが必要ですが劣化は少なく、ヘラの腰が効き、使用により鋼がなじみ使いやすくなります。形状についても、一般的にはバチ型をしていますが使用目的により形態は様々です。スクリーンプリントでは、版である薄いスクリーンに直接ヘラを当てた際に、版の裂傷を防ぐために角を研磨して丸くしてあります。リトグラフでは、インクを台に薄く均一に伸ばせるように幅が広いものが適しています。銅版では、硬い銅版インクをしっかりと練れるよう、やや幅の狭い腰の効いたものを使用するなど、用途によりそれぞれ適した形態があります。
使用時の注意として、複数のインクの混色を行う際には、不要な混色を避けるため、各色ごとにヘラを用意したほうが良いでしょう。また、新しいヘラや金属部分の厚いヘラはインク台を傷つけやすいため、使用する前に砥石やサンドペーパーの上でインクを練る動きをして、角を丸めておきます。
入手先としては、画材店やホームセンターなどで購入できます。